今年からリニューアルした経営指針セミナー「ひろしま経営指針塾」。「経営指針成文化と実践の手引き(テキスト)」にそって毎月1回勉強中です。9月9日に開催された第3講の要旨をご紹介します。
数字がわからなければ、経営者になるな
私は創業経営者です。創業経営者にありがちですが、当時は「かまどの灰までわしのもん」と思っていました。本気で商売しようと思ったのが四〇代。同じ年頃の経営者が商店街に多く、商店街活動も一生懸命やりました。頼まれたら断れない性格で、いろいろ取り組みました。
ある時、友人から誘われて勉強会に参加しました。「人の為」と言いつつ自分の為の経営をしていたと思います。『数字のわからん奴は経営者になる資格がない』と言われ一生懸命勉強しました。
少し話が横道にそれますが、テキスト24ページのコラムは私が書きました。正しい決算書で自社を把握してから分析しないと間違った判断をするかもしれません。例えば決算書に10年も前の不良在庫が商品在庫として入っていませんか?そんな売れない商品が決算書に載っていたらおかしいでしょう?
経営理念をどう成文化するか
簡単に言うと、ビジョンはなりたい目標、理念は目的です。松下幸之助さんが「経営の根幹の80%は理念の浸透にある」と言っていたそうです。それくらい経営理念は大切だということです。
経営理念を成文化するために、まず経営者が自分自身のことを考えてみましょう。「何のために生きているか」「どういう価値観を持っているか」を自分自身に問いかけてみて下さい。
自分の考えに共鳴してくれる社員さんと一緒にやるのがいいですよね。「この指とまれ!」です。
そして理念は引き出しに入れておいてはダメ!社内外に広く伝えることです。自分の覚悟、決めたものを伝えるんです。時代によって変わってもいい。わかりやすい言葉で経営理念を発信しましょう。
テキスト27ページのコラムに「経営」について書かれています。最後の一文には「経営とは、継続的・計画的に社会に役立つ事業を遂行する組織と定義できます」とありますね。つまり、自分のこと、自分の会社のことだけ考えていたのではだめ。もちろん、社会が認めてくれた事業でないと会社は存続できません。
理念研修で理解を深める
私のところは、飲食店ですので、多くのパートさんが接客などに関わっています。ですので、理念研修をして、経営理念を伝えています。
具体的には、まず仕事の定義づけから始め、「価値」と「価値」を交換している経済のしくみを説明します。「他人の幸せ」=「自分の幸せ」だと確認してもらうのです。このあたりから進めて、努力をしないと選ばれる店になれないこと、自分が生きていること自体が感謝であることといった話を含めて、3時間かけて会社の経営理念について説明しています。
退路を断つためにも発信
成文化した経営理念は、社内外への発信も重要です。
あるパン屋さんのお話です。そのパン屋さんには技術のある職人さんがいました。その人がいないとパンが作れないのです。しかし、会社にあるパンの材料を持って帰っていたようでした。経営者はそれに気づいていましたが、その人がいなくなると困るので、何も言えませんでした。もちろん社員さんも気づいていて、そのうち不平不満が出るようになり、とうとう閉店に追い込まれました。もし、経営者が経営理念をきちんと言葉にして伝えておけば、勇気を持って「それはいけないよ」「経営理念と違うでしょ」と言うことができたかもしれません。経営者がぶれないためにも経営理念は発信することが大事です。社員さんの心が動くわかりやすい経営理念を作り、発表してみましょう。
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