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第7分科会 新しい仕事づくり 地域で連携し、未利用材をエネルギー資源へ ~地域循環を進める新しい仕事づくりを考える~

■第1の仕事~ペレットと販路づくり
 
 我社は、元々林業に関わる木材加工機械、刃物の販売を主に行っていました。我社のある愛媛県内子町は、町の面積の80%を森林が占め、林業の盛んな地域です。ところが、2000年のダイオキシン排出規制で、製材などで出る「おがくず」「木くず」を従来の焼却炉で燃やすことが難しくなりました。新たな焼却炉設置は大きな負担になるため、「おがくずをペレットにしませんか」と提案したのです。
 さっそく高知県のペレット工場に視察に行きましたが、「売先がないと、ゴミが形を変えるだけ。我社も困っている」と言われました。そこで、「我社が販売を担当しますから」と言って、ペレット製造装置を買って頂いたのです。
 こうして誕生したペレットですが、初年度は全く売れませんでした。そんな時に、娘が通っている小学校でペレットストーブを使っているというTV放送を見て、小学校に見学に行き、町役場を訪ねたところ、「バイオマスタウン構想」を町が打ち出していることを聞いたのです。そこで町内の未利用材を集め、地元工場でペレットをつくり町内企業の活性化と雇用にも結びつけていくことを町に提案したのです。

■ペレットづくりを支えた「木こり市場」

 内子町では豊富な森林資源を活用してお金が町内に回る仕組みとして、バイオマスエネルギーの利活用を進めています。
 その中心となる木質バイオマスでは、未利用材(建築資材にできない曲がった部分や根に近い部分などが山中に放置されている)を町役場が運営する「木こり市場」で集め、我社がペレットを製造販売しています。
 毎月月末の3日間ひらかれる「木こり市場」では、町内の山林の間伐材など1トンの未利用材が8千円で買い取られて、持ち込んだ方の「木こり通帳」に「出荷」として記録されます。おろしたいときは、3千円分は地元商店などで使える「地域通貨券」で、残りは現金で支払われる仕組みです。8千円の内訳は県が1500円、町が440円、弊社が6060円。
 

■第2の仕事~ペレット製造ノウハウを売る!

 我社で生産しているペレットは、スギやヒノキの未利用材を材料とした燃焼効率の高い「ホワイトペレット」で、販売価格は1キログラム60円(税別)です。当時は円安と原油高でペレットは割安となり(1ドル100円、1バレル60ドルなら競争できる)、トマトやいちごなどを栽培する地元農家は、温室のボイラーを重油から木質ペレットボイラーに切り替えるようになりました。小中学校や幼稚園の町産材による建て替えもすすみ、ペレットボイラーで床暖房が導入されています。家庭用のペレットストーブも、町の助成金を受けて、年に数台ずつ増えています。
 当初、製材所などにお願いしていたペレットづくりですが、やがて需要に追い付かなくなり、我社でペレットそのものを作るようになりました。一時期は、四国一の生産量(2500トン/年)になっていました。
 こうしてペレットの利用拡大を受けて、ペレットを作る装置そのものや、そのノウハウを売るようになっていきました。特にペレットの品質を整えるのは大変で、一定のノウハウも必要です。こうした相談ごとにお答えし、改善のための機材を販売するという、本来の仕事も拡大しています。
 
■バイオマス発電の普及と木材の高騰

 ところが原油が安くなると、経済効率から再び重油に回帰する農家が増加し、ペレットの消費が伸び悩むようになります。
 他方で、FITの影響で、バイオマス発電、特に木質発電の動きが顕著になり、未利用材が「チップ」として発電に利用されるようになって、地域内循環が崩れていきます。大手の行う発電では、膨大な量の未利用材が広範な地域から集められるからです。
 ともあれ、こうした環境下で未利用材の高騰が続いています。ペレットの販売や普及が難しくなり、現在は年約2千トン程度に落ち込んでいます。
 

■第3の仕事づくり~バイオマス発電に

 そこで目をつけたのが、木質バイオマス発電です。2千KW以下のFIT価格は40円(税別)。これで20年間、買い取りが続きます。
 内藤鋼業とは別会社をつくりました。必要な投下資本は約12億円。2億円は出資を募り、10億円は借金する。約15年で設備の償却が終了できる見込みで、出資者には毎年5%の配当を約束できます。そこで電機会社と組んで、発電所の建設を行うことにしました。融資は地元金融機関の協調融資の方向で進めていましたが、結局強い要望があって、地銀一本にしました。ちなみにこの融資は、「事業性」を担保にしたもので、仮に会社がうまくいかなくても、出資額はパーになりますが、それ以上の責任は問われません。募集した出資については、申し込みが殺到したため、林業関係者だけにお願いすることにしました。来年の秋までには、稼働させたいと、準備を進めているところです。


 
■ペレットを使った発電

 我社の発電はペレットをガス化してガスエンジンで発電するものです。チップによる発電設備はかなり大規模なものになりますが、我社のものは、現在の我社の敷地の一角で十分です。
 もう1つの特徴は、約90℃の温水ができるので、これを利用した熱交換発電(バイナリ―発電)を行うことです。できるだけエネルギーロスをなくそうとしています。
 課題はペレットの増産で、そのための木材の確保です。森林組合と㌧7千円(税別)で引き取る契約を結びました。6千円は林業業者、運送業者に、500円は森林組合に、500円が生産者に分配されます。建築資材になる木材がおおよそ㌧8千~1万5千円なので、十分仕事として成立する価格です。これまでの価格では山中に放置されていた未利用材が、これで集まってきました。年間に約8千~1万トンのペレットを生産しようとしています。
 もう1つ、熱交換発電(バイナリ―発電)を行っても、1時間に4トンの約30℃の温水を廃棄することになります。これを活かした新しい仕事づくり(例えば魚の養殖など)はできないか、と地域の方々に呼びかけています。
 
■エネルギーシフトの視点で新しい仕事づくりを考えよう

 灯油や重油を買っても、輸入している大企業と中東にお金が行くだけで地元にはほとんど残りませんが、内子町のペレットを使えば全額が地元に残ります。林業の方、運送業の方、ペレットを作るところ(つまり我社)、それを販売する方…。こんな風にペレットを使うほど町内にお金が回るようになります。それで新しい雇用も生まれます。
 森は油田のようなもので、重要な国産のエネルギー資源です。輸送コストが高くなるため、それぞれの地域の未利用材で地元業者がペレット生産し、雇用を増やし、地域内にお金が回る仕組みを作るという視点で、新しい仕事づくりを考えることが、これからの経営者に求められているのではないでしょうか。
 

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