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2024.10.24

「仲間と共に未来をつくる~全国を見据え地域ブランドへ~」福山支部9月例会

開催日時:
(月)
会場:
ローズコム
人数:
96名
報告者:
(株)アーティストリー 代表取締役 水戸 勤夢 氏(愛知同友会)
文責者:
事務局 本田

デスクに寝かせた経営指針書

(株)アーティストリーは愛知県春日井市で店舗の内装やディスプレイ業界の特注家具の製造及び3D木工の設計製造、を行っています。私は創業時に、とりあえず5人の会社にすることを目標に経営をしていました。しかしそう簡単にはいかず、素行に問題がある人でも採用したり、妊娠中だった妻にも働いてもらったりしました。自分でも、ひどい経営者だったなぁと思います。
同友会に出会ったのは今から28年前です。経営指針書を初めて作りましたが、自分のデスクに10年間寝かせたままでした。その後、改めて作り直しましたが、最初の2~3年は社員から「社長が面倒くさいことを始めた」と思われ、上手く進みませんでした。経営指針書はすぐに広まらないものだと学びつつ、指針の発表会を続けていくうちに、社内で深められるようになりました。今では全社員と経営指針書を作るようになりました。

10年ビジョンを掲げる

2019年に全社員と作成した10年ビジョンでの中で、「(株)アーティストリーは業界の先駆者として憧れの企業になっている」、と掲げました。そのために最初に取り組んだのが社内改革でした。実は木工会社の給料は低いと思われていて、今のままでは憧れの会社にはなれないと判断したからです。現在では業界に先駆けて週休2日制も実現し、業界で一番の働きやすい会社をめざしています。経営者はつい「会社がこの目標を達成したら」「これくらいのレベルになったら実行する」と思いがちですが、とりあえずやってみることが大切なのです。
経営指針をどう社員と共有するかに悩む経営者も多いと思います。同友会のテキスト「人を生かす経営」は、社員のとの信頼関係が第一だと言っています。経営者だけではなく社員がビジョンを話せるようになるためには、まずは経営者が社員の話を聞くことです。社員と指針書やビジョンを作るためには、社員とコミュニケーションは必要不可欠なのです。

「見て覚えろ」から共育へ

当社で一人前の物作りができるには数年かかります。製造現場では70代の職人も活躍し、特に一個づくりの製品に関しては高い技術力を発揮してくれています。職人は言葉で伝えることや集団行動が苦手な傾向がある一方、何事にも真面目に取り組む、黙々とやり続けるという側面を持っていると思っています。

ある日、若い女性社員に「私は成長しているのでしょうか」と聞かれました。咄嗟に「大丈夫、成長しているよ」と答えましたが、心の中では明確な答えが出せないままでした。そこから「見て学べ」の職人の世界から、社内で共に育つ仕組みを作りました。社員が同じ目標を持ち、かつ達成感を味わえるよう短期の目標も設定しました。ここ数年の離職率は約5%を推移するようになりました。人はつい相手も自分と同じだと思いがちです。しかし、人間関係を作っていく上では、自分と人は異なるという事実を認識しておくことが大切です。

Art is Try~仲間と共に未来をつくる~

アーティストリーという会社名は、「Art is try」(アート イズ トライ)という言葉から出来ています。コロナをきっかけに、学生との連携やリブランディングに挑戦しました。自社の強みである木材の曲げ加工を活かした製品やディスプレイを評価していただき、最近では海外の賞をもらったり、デザイナーから指名していただいたりしました。同友会でも市場が縮小しても生き残ればチャンスと言われますが、会社の強みがなければ、競争が激化し価格勝負で利益が出なくなります。私は「こういう物を作るならアーティストリーじゃない?」と全国の人に思ってもらえるブランドを社員と共に作りたいと考えています。