「不確実な時代を生き抜く中小企業経営の極意~同友会魂で明日から変われ」福山支部新春講演会&互礼会 講演要旨
- 開催日時:
- 2025/01/08(水)
- 会場:
- 福山ニューキャッスルホテル
- 人数:
- 164名
- 報告者:
- 講師:(有)第一コンサルティング・オブ・ビジネス 代表取締役 丸山 博 氏
- 文責者:
- 事務局 児玉
■世界情勢は選挙を見ればわかる。
2024年の選挙、米英独仏台韓印日の主要民主主義国で与党軒並み敗北。物価高、株高への国民の不安と不満が爆発寸前です。
戦争、紛争、いつ終わる。ウクライナ、イスラエル、シリアと世界中で戦争や紛争。平和とは程遠い。シリアは民主主義国家になる可能性は難しいです。
強いリーダーが幅を利かせる時代。ロシア、中国、イランなど強いリーダーが権力掌握。良いか悪いかは別として、現実です。

経済は今、曲がり角。「グローバル資本主義」が今後10~20年で別の形に変わる過渡期です。
投機マネー。世界の主要先進国で投機にブレーキがかかっていないです。日本も知らない間に国民を巻き込んでしまっている部分がある。
■それでは、日本はどうなのか?
円安、止まらないじゃないか。一昨年まで日米金利差が原因と言われたが、金融政策変更後も円安。デジタル赤字でドル買い円売りが原因の一つです。
給料、上がってるのか。物価は上がるのに、実質賃金はなんと33カ月連続マイナス。国民の怒りは当然。
■日本の会社、ここが問題だ
大企業と中小企業の不公平な取引。下請け発注金額が諸外国に比べ圧倒的に低い。労働生産性が低いと言われる原因の一つ。
非正規で働く人、多すぎ。非正規労働者が増えて、全体の賃金が引き下げられています。これは問題です。
労働組合、もっとしっかりしろ。大手労組の会社側との協調路線も問題です。
人手不足、どうすればいいんだ。若者の意識変化で採用難。タイミー等のスポットワーク活用検討の時代。
消費者の行動も変わった。普段は節約して、安いものをネットで買うが、特別な日にはパーッとお金を使う。消費者の財布の紐が、何本にも分かれてしまっているんです。
■中小企業が生き残る3つの秘策
秘策1.原点回帰。「お役立ち」の精神を思い出せ。
「自分たちの会社は誰の何のために?」を再考です。儲けることばかり考えるな。顧客の役に立つことを第一に考えるんです。
秘策2.経営指針を今の時代に合わせて作り直せ。
同友会のめざす「21世紀型の会社」へ、経営戦略を再構築する。
自社の存在意義を再確認:社会での役割を明確に。
社員のやる気を引き出せ:社員のアイデア、自主性を尊重、人を生かす経営を。
下請け脱却:値段を自分で決められる自立した会社へ。顧客にとって「なくてはならない存在」に。
「下請け」でなく「横」で受ける対等なパートナーへ。顧客の「実は困ってること」を徹底解決、サービス質向上。「なくてはならない存在」となった顧客を増やす。業界全体でなくてはならない会社へ持っていく。
秘策3.経営者に必要な3つの力、これしかない。
今の時代、特に重要な資質は以下の3つです。
1.構想力:顧客が喜ぶ未来を描け!
何よりまず構想力。顧客の喜びを想像し、新アイデアを生む力こそ経営者に必須の競争力。こんな商品やサービスがあったら…」と思えるか。
無理なら今から鍛えましょう。
ひらめきを鍛えるには?:インプットとアウトプットのサイクルを回せ!
ひらめきはインプットとアウトプットから生まれます。情報皆無、アウトプット習慣無しでは無理です。

情報収集、経営指針書へまとめ、社員への発信。あるいは、経営者仲間に自分の考えをぶつけてみて、「どう思う?」と意見を聞いてみる。真剣に考えて、意見を交換する。
実は、経営者仲間との意見交換が一番良いのです。だからこそ、同友会の役割は大きいのです。同友会の例会は、そういう役割を果たすような例会づくりをしてほしいと、私は思っています。
インプットが弱いなら時間を作る。経済誌の目次だけでも良い、世の中の情報に「面白いな」と好奇心を持つことです。
偉人から学ぶ:エジソンの言葉の真意
「成功に必要なのは1のひらめきと99の汗と努力」とエジソンは言いました。日本では「努力が大事」と教わるが、米MBAでは「1のひらめきがないとダメ」と教えます。
つまり、ひらめきなき者を経営者に据えてはいけない。同友会の社長なら「ひらめきだけはある!」と思えるはず。だが後継者はどうだ。ひらめきを鍛える訓練が必要です。インプットとアウトプットでひらめきを鍛え、「ひらめきなら負けん!」と言えるかどうかです。
2.実践力:考えたことはすぐやれ!早く失敗し、早く成功せよ!
2つ目は実践力。すぐ行動に移す力。「今やる、すぐやる、着手する」。成功事例に「自分も気づいてた」と言う人いるが、気づく人は多くても実行できる人は少ない。考えたらすぐやる。早く失敗し、早く成功する。これを繰り返すことです。
3.動機付け力:社員のやる気を引き出せ!危機感ではなく、希望を語れ!
最後は動機付け力。社員のやる気を引き出す力。危機感と不安感は違う。危機感は明るい未来への「今のままではダメだ」という感覚です。だが「危ないぞ」と煽るだけでは不安感しか生まれません。明るい未来を共有し、希望を語ることが大切です。
■伝え方、そして「聞き方」を磨け!
伝え方にも注意と訓練が必要です。まずは「聞き方」の訓練。つまり傾聴力です。社員の話を上手に聞く力を磨く。社員が話始めたら口を挟まず最後まで聞く。コツは上手な「うなずき」と「合いの手」。「なるほど」「それで?」と引き出す。
私もコンサルで駆使してます。社員に「自分が考えた」と思わせるように話を聞き出し、導く。社員が違う方向に進みそうなら「そう思ったんだな。わかる」で一旦終わりに。聞いてもらっただけで満足な場合も多い。その後は経営者の責任で正しく導くことです。
■成功事例3連発!参考にせよ
事例1:阪神特殊自動車㈱(霊柩車専門の運送会社)
元は葬儀会社の下請け。だが葬儀会社が困る「夜間の受付」「遺体搬送」を全部引き受けるサービス開始。
葬儀会社に「なくてはならない存在」となり、今では逆に葬儀会社を下請けに使う立場に。

事例2:㈱ライズアップ(中古厨房機器の買取・販売)
全商品を単品管理できる画期的ソフトを開発。全国同業他社とシステム連携、広範囲で売買可能に。遠くの会社ともシステムで繋がり仲間に。
事例3:㈱青粒(健康食品「青汁」の販売)
売上アップ狙いで利益出ず、社員全員で上位顧客を訪問、「なぜ?」を質問。「健康のため」以外に「アトピー改善」という気づかぬニーズを発見。社員のモチベアップ。売上は減ったが利益は大幅アップ。
■今すぐ行動開始だ。中小企業の未来は明るいぞ
最後に、私からのメッセージをまとめます。
1.自社の「お役立ち」再考。
2.時代に合った経営指針作成、経営戦略を練り直す。
3.社員との対話、やる気を引き出す。
4.同友会仲間と情報交換。
5.新情報、技術(生成AI等)に挑戦。
6.「今すぐやる」精神、失敗を恐れず行動。
7.社員の話を聞き、イキイキ働ける会社へ。
8.顧客に「なくてはならない存在」となる。
大変な時代ですが、中小企業にはまだまだチャンスがある。私のメッセージを胸に同友会魂で共に成長しましょう。
※1/10、ANAクラウンプラザホテルで行った広島中支部新春講演会・互例会でも氏による同様の講演をいただきました。