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2025.07.01

「未来への挑戦-広島経済の未来を担う青年経営者へ-ポテンシャルを開放せよ!」

開催日時:
2025/05/09(金)
会場:
ホテルグランヴィア広島
人数:
313名
報告者:
日新産業(株) 代表取締役社長  橋崎牧人氏(兵庫同友会)
文責者:
事務局 中野

第19回青年部連絡協議会総会 基調講演

我が社は創業63年、私で3代目です。社員数は41名、平均年齢は32歳と鉄鋼業界では若い方です。これは新卒採用を続けてきたためです。また、社員の3割は女性社員という点も特徴だと思います。
私は、2010年に日新産業(株)に入社しました。リーマンショックの影響が続いている会社を立て直す戦略があったわけではありませんが、サラリーマンを続けるより後悔が少ないと思い、継ぐことを決めました。

■経営者の覚悟で会社は変わる

入社当時はやる気に満ち溢れており、勢いだけで飛び込み営業をしていました。しかし、他社より安ければ買っていただける営業を続けていたため、業績が段々と下がっていきました。退職者が止まらず、当時15名いた社員が9名になりました。退職理由を聞くと、「あなたに未来を感じない」と言われました。その時、会社の業績が悪い理由を業界、父親、社員のせいと他責にしていたことに気が付きました。覚悟を決め、右腕となってほしい社員に「人生を預けてほしい」と伝え、一緒に歩き始めました。
同友会にも入会しました。本会・青年部・経営指針をつくる勉強会にとにかく参加していました。沢山の方に助言をいただき、第1回目の経営指針発表会を行いました。初めての発表に、社員の反応はありませんでした。「経営指針書を使って会社を絶対作り変える」という宣言をして、その日を終えました。それから色々な取り組みを始め、業績が少しずつ回復しました。経営者が「みんなでやっていこう!」と覚悟を決めて動くことで会社が変わると実感した瞬間でした。

■ビジョンを掲げ、今をつくる

しかし、その後何年も売上が5億円を超えない年が続きました。2017年に、青年部の先輩に、「5億を壁だと思うから超えない。10年後のもっと高い壁を設定すれば超えることができる」と言われ、売上35億円という壮大なビジョンを掲げました。理由は「35億」というネタが当時流行っていたからです。自社は鉄の切断のみ行っていましたが、同業の35億円規模の企業は、鉄の加工を全てできる企業だと知りました。10年ビジョンを作り、今何をしなくてはいけないのかわかるようになると5億円の壁を越えることができました。
その後のコロナ禍でも、ビジョンを掲げたことで、業績を伸ばし続けることができ、売上12億円を達成しました。

■社員を信じて頼る

2023年、1年で日本人正社員の半分の10名が退職しました。私が社長になり4年、組織成長が業績に伴っていませんでした。工場に落書き、仕事中にさぼる、ルールが守れないといった社内でした。私は、罰則を強め、社員を監視し、社員が信じられなくなりました。自分の理想と最もかけ離れた状態で、同友会の仲間にも言えませんでした。
問題から目を背け、社員を頼ろうとしない姿勢に、ある方から「お前は社員を馬鹿にしている」と言われました。10名の退職後、残ってくれた社員には大きな負荷がかかっていました。それでも頑張ってくれる姿を見て、もう一度頑張ろうと決意しました。
私が本当に作りたい組織は「1人1人が本気で向き合いつながっており、全員で共通のGOALに夢中で走っている」状態です。仲良くなってからゴールをめざすのではなく、共通のゴールに向かう中で仲良くなる集団です。

■めざす組織のありかた

社員全員で設定した共通のゴールは「鉄で全てを勝ち獲り みんなで自分の人生を最幸にする」です。鉄という自社の商品で、全てを勝ち獲り、自分の人生を自分で幸せにするという価値観を掲げました。そのために、2025年には売上20億円、利益1.5億円をめざしました。共通のゴールを設定することで、1人1人が意見を言い合い、自分では思いつかなかったアイデアがどんどん社員から出てきました。
そして、今年は売上20億円を突破し、8年前に掲げた35億円の実現が見えてきています。これは、「自分の可能性を信じ、社員の可能性を社員以上に信じている」からです。年齢・性別・学歴関係なく、我が社の社員なら絶対にできる!と信じています。
私は「理想を追い求め現実を変える」という言葉が好きです。会社経営をしている中で、毎日問題が起きます。それでも歯を食いしばり、「こうなりたい」と理想を追い求める人が経営者だと思います。理想を語り合い現実を変え、広島、日本を良くしていきましょう。