同友ひろしまNews

更新日2016.01.07

⑪第10分科会「経営者の役割とは ~同友会で何を学び、どう経営に生かすか~」

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報告者 ㈱クニヨシ 代表取締役  早間 雄大 氏(中同協青年部連絡会共同代表・福山支部)

 私は同友会の掲げる、3つの目的と「自主・民主・連帯」の精神が大好きです。私なりに「自主・民主・連帯」の精神を簡単にいうと、自主=自立型企業・自発性を尊重すること、民主=全員参加型経営・平等な人間観を持つということ、連帯=共に育ち合う、あてにし、あてにされる関係性を築いていこうということです。
 入会当初こそ「キレイゴト」だと思っていましたが、勉強をすすめるにつれ、「これらを深めていったら絶対に会社は良くなる!!こんな会社にしたい!」と思うようになりました。いつもどうすれば同友会の3つの目的・精神に近づけるかということを考え、追求してきました。

入会のきっかけは痛い目にあったこと

 入会は2003年、30歳のときです。私は18~26歳まで海外を放浪し、27歳で実家の㈱クニヨシに入社しました。父母が2人で経営している小さな鉄工所でしたが、私は父のことが大好きだったので、ゆくゆくは継ごうと決めていました。
 入社して半年後、売上の85%を占めていた取引先が倒産しました。タイミングの悪いことに私が帰ってくるということで中古の工場を購入した直後でした。
 当時、私は世界を放浪し遊び疲れ仕事に対するやる気に満ち満ちていたので、有り余るエネルギーを仕事に全て注ぎました。28~30歳までは寝る時間も削り、日中は営業、夜は現場で作業という毎日を送りました。
 そんな中、趣味の釣りで知り合ったある経営者から仕事を定期的にもらえるようになり、気づくとその一社で売上の65%を占めるようになりました。ある日、その取引先に半年間の売上から5~10%をバックして欲しい、さもなくば取引停止だと言われました。商売でもなんでもない、単なる無理難題をふっかけられたのです。
 これをのめば、一生飼い殺しだと思い断りましたが、やり場のない怒りに襲われるとともに、自分の無知が招いたことだと気づきました。心の底から「経営の勉強がしたい」と思いました。
 色々な人に勉強できる場はないか尋ねたところ、同友会を紹介され、藁にもすがる想いで入会しました。

転機は体験報告

 私の大きな転機は同友会へ入会したことと、入会して一年経ったころの体験報告です。体験報告は「家業から企業へ」というテーマでお話しました。思えばここで私の決心がようやく決まった気がします。
 「家業の方がリスクが少ない」とずっと父母に言われてきた私には当時非常に勇気のいるテーマでした。家業から企業への転換なんて本当に自分に出来るのか…何の保証もない中、報告することで一歩を踏み出したのです。

ビジョンを描く

 しかし、報告したからといって一足飛びに家業から企業へ転換できるわけもなく、どうしたら良いかをずっと自問自答していました。まず、10年後の自分や会社を強く想像するということをしました。毎日現場に出ていたので時間はありませんでしたが、夜9時から2~3時間ほど時間を決め、考えるということを2~3カ月行いました。
 そのときたくさんの理想の姿を挙げ、絞り込んだ結果、①設備の導入計画(ニッチ肩鋼戦略)、②営業戦略、③学ぶ文化を育む仕掛けづくり、を掲げました。
 ①は営業しなくても仕事がくる、そのうえで利益もしっかり出る企業になるためには他社が避けてきた分野に手を出すしかないと考えました。それは、面倒で、しかも儲からないと一般的に言われている分野です。業界の美味しい分野はすでに先発企業が占めています。後発企業が巻き返すにはどこもしていないことをやるしかない、と同時にそれが自社の強みになると思いました。そのため、自社の設備はオリジナルで他社にないものばかりになっています。
 ②はこれまでの経験から業界によって好景気不景気の波は必ず繰り返すということがわかっていましたので、リスクヘッジの一環として全ての業界と係ることを目標に7業界70社のお客様を持とうと考えました。過去2回の取引先消滅の経験から一社依存どころか、一業界依存もしてはならないと思い、お客様・業界の動向に影響を受けない「自立」型企業をめざそうと考えました。
 ③は指示待ちではなく、自主的に頑張る社員たちのいる、人が人を連れてくる企業をめざそう、そのためには、仕組みづくりが必要不可欠だと考えました。
 絶対勝ち抜ける、お客さまからみて魅力ある企業とはどんな企業か、また、社員からみて魅力的な企業とは?ということをまず考え、そしてそれらを動かしうる組織をイメージしました。
 そのうえで出た答えが10年後の40歳時点で、社員30人、売上4億円、経常利益率5%(2,000万円)、自己資本比率25%という数字でした。

数字で語ることの大切さ

 結果、40歳(2年前)のときの㈱クニヨシは、社員30人、売上3億8700万円、経常利益3300万円、自己資本比率27%となりました。
 数字は正直だなと思うのが、売上が目標の4億に達していないところです。私自身、売り上げ自体には興味がありません。売上は上げようと思えば10億円まで上げることも可能だと思っています。しかし、大事なのは経常利益であって、売上がたとえ10億円であっても経常利益が1000万円であれば、意味がないと考えます。
 私が12年間同友会にいて、痛切に感じているのは、「数字」の話が少ないということです。「良い会社をつくろう」という経営者の集まりにも関わらず、「数字」の話が出ないのはどういうことかと思います。
 私は社員にも自分の子どもたちにも数字をおろそかにして欲しくないと思っているので、自分が率先して意識を高く持つようにしています。こういった報告の場でも意識的に数字を掲げてお話するようにしています。

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クニヨシの最大の強みは社員の「主体性」

 ㈱クニヨシの最大の強みは社員の主体性です。私は基本的に報・連・相は必要ないと言っています。社員同士はもちろん、報・連・相をきちんとしていますが、社長である私に相談しなくても、部長・課長に裁量を持たせてあれば、解決できないことはほとんどありません。何か問題が起こっても社員が自分達で考えて解決します。
 私は社員を製造業にありがちな指示待ちロボットにしたくなかったので、必ず色々な部署に配属させ経験を積ませます。これは作業効率も悪く、コストもかかりますが、ここに投資していかないと、主体的にものごとを考える人間にはなりません。
 もともと自社の社員は勉強が嫌いな子が多いのですが、ある日突然、朝礼や勉強会を始めたり、掃除当番制をつくったりと会社のための仕組み作りを自主的にしてくれています。自社の社員ながら、すごいなと思います。
 最初からこのような社風だったわけではなく、同友会入会直後は社員を大量に採用して大量に辞めていった時期もありました。採用を始めた年は7人採用し、7人とも辞めていきました。次の年は6人採用し、3人辞めていきました。このように徐々に結果がついてきたという感じです。

心がけていること

 どうやって人間って変わっていくの?どうやって会社って変わっていくの?という質問をよく受けます。
 私自身が大事にしていることは、同友会はもちろん、会社に対しても常に自らの関わり方を変化・進化させるということです。小学校でも学年ごとにカリキュラムは変わると思います。意識的に昨年と同じ時間の使い方をしないようにしています。
 さらに大事にしていることは、常に課題・テーマを明確に決めて何事にも臨むということです。同友会でもなんとなく役を受けるとなんとなく勉強にはなったという感じはするでしょう。しかし、具体的に何が勉強になったかというと答えられなかったりするのです。それは、最初に自分の課題・テーマの抽出をしていないからです。同友会のために同友会活動をしているということになりかねません。私自身は自社をよりよくする為に同友会に参加しています。そうでないと社員に顔向けできません。

事の成る、成らぬは、それを言う人間による

 これは、私の好きな本、司馬遼太郎著「竜馬がゆく」の中にある一文ですが、同じ一言でもそれを言う人間によって全く意味合いが異なってくるということです。ある一つの言動をとってもその人となりによって、周りの人の捉え方が異なってきます。自分の言動に色をつけられるのは日頃の自分の行いのみです。私自身がまず、社長として社員に背中を見せていかなければならないと思っています。

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