同友ひろしま/2020年/10月/News

SDGsを経営に活かせ (福山支部環境経営委員会勉強会 講演要旨)

講師:広島修道大学人間環境学部 教授 豊澄 智己 氏

■MDGsの後継

 2001年に成立したMDGs(ミレニアム開発目標)の後継としてSDGs(持続可能な開発目標)は生まれました。MDGsは国家やNGOなどの取り組みが重視されていたので、私たちにはややなじみの薄いものでした。  これに対してSDGsは、成果課題の解決に企業の役割(特徴)を重視しています。17のゴールと169項目のターゲットが定められています。  

■ゴールの意味

 SDGsの17の目標は大きく4つに分類できます。1~6は社会基盤に関するもの、7~12は経済基盤、12~15は環境基盤、そして各目標を達成するために必要なのが16と17です。17は、同友会の強みである「パートナーシップで目標を達成」です。  

■SGDs活用の意義

 SDGsを活用することの意義は三つあると思います。
 1つは、活動の正当性・公共性を示すことができることです。「○○の活動は、ひとりの社長の利益・思いのためではない。世界の潮流なのだ」と従業員はもちろんのこと、社員やお客様にもアピールできます。そして、その目標に向かって同意を得て、一丸となることができます。
 第2に、これが共通言語であることです。例えばISO14001に取り組んでいます」と言えば、「環境配慮型の企業」という評価になりますが、「SDGsの〇〇に取り組んでいます」と表明すれば、どのようなことに取り組んでいるのかが共通認識としてはっきりとわかります。これは地域連携や関係者との協働・連携にもつながります。  
 第3に、世界標準としての評価を受けられ、宣伝効果があることです。  

■検索を活用しよう

 共通言語ですから、世界の優秀事例を検索し、見つけ出すことは容易です。自社の取り組みが○番と○番のゴールに関係しているな、と思ったら、その番号と業界名でインターネット検索してみて下さい。同業他社がどのように、SDSGsに取り組み、またどのように活用・アピールしているかよくわかります。
 どの優秀な事例でも、SDGsのために何かをしているのではなく、自社の取り組みをどうPRするか、つまり既存の取り組みをSDGsで色付け(評価)して世の中に広くアピールしているかに気付くことができるはずです。  

■SDGsの事業化

 CSR(企業の社会的責任)はSDGsの一部であり、パスポートのようなものです。パスポートがあれば外国に行くことができるわけではないように、SDGSやCSRそのものが売上になるわけではありません。しかしながら、企業経営にはなくてはならないものです。したがって、使い方は次の3つになると思われます。
 第1に自社の既存の取り組みをSDGsで色付け(評価)すること。第2に、自社の仕事をSDGsの視点で見直し改善すること。第3に、SDGsのゴール・ターゲットを新たなビジネスとして展開することです。
 最後が最も困難であることは言うまでもありません。いわゆる「産みの苦しみ」です。例えば、「焼酎かす椎茸」。廃棄される焼酎のカスを菌床に用い、椎茸を創ることで廃棄物を有効活用する。それがブランドになるという期待を抱く。けれども、実際にはコストが高すぎたり、既存企業の参入障壁が高すぎました。これは、廃棄物を削減するという高い志を基に研究開発された素晴らしい取り組みであったものにも関わらずです。
 一方、「NO FOOD LOSS」をご存じでしょうか。仕組みはものすごく単純なものです。コンビニの賞味期限が迫っているものをアプリで紹介し、販売する仕組みです。もちろん価格は半額になりますが、店にとっては売上ができ、廃棄コストが不要になるので、消費者にも店にも経済的なメリットが生じる。しかも食品ロスという社会問題を減らせるというSDGsにかなったものになっています。つまり、この事例では自社の事業をSDGSの視点で見直し、食品廃棄コストの低減と新たな顧客を生み出したのです。  

■おわりに

 SDGsは2030年までの取り組みです。そのころ、時代はどうなっているでしょうか。事業の姿・会社の将来像を描き、そこへ向かってこの瞬間から変わっていく必要があると思います。つまりバックキャスティングが重要だという事です。皆さんの言う、経営指針の成文化と実践に重なる取り組みです。
 今後、SDGsに示されているゴール・ターゲットを事業化したり、現在の仕事をシフトしていく必要があります。現状とSDGsが目標にしているものとには大きなギャップがあります。だからこそ、そこに大きなビジネスチャンスがあるのです。
 ぜひSDGsをボランティアでなく、事業に活かしていただきたいと思います。

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