「今、農業者がやばい!!〜BtoGによる農業支援の新たな可能性〜」広島西支部廿日市地区会
- 開催日時:
- 2025/09/12(金)
- 会場:
- 廿日市商工会議所
- 人数:
- 58名
- 報告者:
- ワイワイファーム 代表 水田 耕太 氏
- 文責者:
- しげる整体院MY4パーソナルジム 森 裕輔 氏
廿日市市津田で「ワイ・ワイファーム」を営む水田耕太氏にご報告いただきました。
当日は水田さんの幅広い人脈により他団体からのご参加も多く、終始活気に満ちた例会となりました。
「農業がやばい!!」のテーマでしたが、溝で足をくじき左足が骨折した水田氏が一番やばい状況で報告はスタート。
未経験から農業へ、家族との再出発

水田さんが農業を始めたきっかけは、若くして父を亡くし、荒れ果てた実家の田んぼを目にしたことでした。さらに28歳のとき、交通事故で意識不明となり、生死の境をさまようという壮絶な経験も重なります。
その中で「父の意思を継ぎたい、娘の笑顔を取り戻したい」という想いが芽生え、農業の道を決意。まったくの未経験からスタートし、廿日市農林水産課やJAに飛び込みで相談。研修を経て2017年にいちご農家として就農されました。
農業を通じて家族関係も修復され、人生そのものを立て直してきた実体験は、多くの参加者の心を打ちました
農業を「かっこよく・稼げる」仕事へ
水田さんは「農業=3K(汚い・キツイ・稼げない)」というイメージを、「かっこいい・簡単・稼げる」へと変える挑戦を続けています。
ハウス内の環境制御や紫外線照明の導入、ドローン散布、ラジコン草刈りといったスマート農業技術を積極的に取り入れ、省力化と高品質化を両立。
さらには地域農家と連携し、耕作放棄地の保全や、地域ブランド「津田いちご」の確立にも力を注いでいます。
「Uber農業」で広がる食育と体験の輪
特に印象的だったのが、「出張農業体験『Uber農業』」の構想です。トウモロコシやいちごなどを現地に持ち込み、子どもたちが収穫体験を楽しめるこの仕組みは、食育の推進と農家の収益向上を同時に実現する新たなモデルとして高く評価されました。
さらに形の悪いいちごを活用した「津田いちご酢」の開発や、東京や台湾への販路拡大など、6次産業化にも果敢に挑戦。地域の農家3社で立ち上げた「いちごkingdomプロジェクト」では、“1年中いちごが楽しめるまち”を目指し、廿日市の農業と観光の未来を描いておられます。
BtoGの可能性と、仲間と創る未来

行政支援(補助金)の活用についても、具体的な設備や補助対象の話まで踏み込んで共有いただき、参加者からは「自社の事業にも応用できそう」との声も。水田さんは「農業者1人の声では行政に届かない。だからこそ仲間とともに声を上げることが大切」と力強く語られました。まさにBtoG(Business to Government)の本質を突いた言葉だったと思います。
感想とまとめ
今回の発表は、単なるビジネス報告にとどまらず、家族への想い、地域への情熱、そして未来への希望が詰まった心震える時間でした。
「農業にここまでの可能性があるとは思わなかった」「地域や行政とのつながりの重要性を学んだ」「『かっこいい農業』を本気で実現しようとしている姿に感動した」…そんな声が多く聞かれました。
農業が置かれている厳しい現状を痛感するとともに、それでも前を向き、周囲を巻き込みながら突き進む水田さんの人望と熱意を強く感じる例会となりました。
まさに「農業の危機」を実感し、「希望の兆し」を見た熱い夜でした。