活動レポート
  • ホーム
  • >活動
  • >「『共育』~九州一から日本一へ!社員と共に育つ組織作り~」広島東支部南②地区会
2025.11.28

「『共育』~九州一から日本一へ!社員と共に育つ組織作り~」広島東支部南②地区会

開催日時:
2025/10/28(火)
会場:
サテライトキャンパスひろしま
人数:
100名
報告者:
(株)ブンカ巧芸社 代表取締役 峯元 信明 氏(鹿児島同友会 副代表理事/中同協 共同求人副委員長)
文責者:
事務局 橋詰

■リーマンショック直撃、山積する課題

弊社は九州を主な商圏とする、72年の歴史をもついわゆる看板屋です。2013年に社長交代し、私で3代目になります。同友会歴は21年です。
2004年に入社した私は、2008年に、5年後に社長交代することを2代目の父と約束しました。ですがその翌年、リーマンショックにより大きな打撃を受け、全社員給料カット及び社員のリストラを敢行します。当然、「経営陣を信用できない」と、離職が相次ぎました。
当時は不景気以外にも課題は山積みでした。高い離職率。部署間の責任の押し付けあい。そして、効率の悪い、整理整頓されていない工場…そんな会社でした。 

そんな中で私は、同友会の経営指針セミナーに参加しました。改革のきっかけになった学びの一つが、組織の三要素(チェスター・バーナード氏提唱)です。良い組織には、①共通の目標、②協働の意欲、③コミュニケーションの3つが必要という論です。
共通の目的を共有した、助け合いの風土がある組織にしたい。そう考え、改革に取り組む決意を固めます。

■経営指針指針の確立~課題の抽出、共有・実践、振り返り

最初に取り組んだのが、理念の成文化です。年に一度、経営指針の見直しを行う際には、SWOT分析や企業変革支援プログラムを参考にしています。
私は2010年の指針作成時、企業変革支援プログラムに取り組んで、36個の課題を抽出しました。抽出した課題に対して、誰が・いつまでに・どんなことをするか書き出し、全社で共有して、毎年振り返りと実践を重ねました。今では36個すべての課題を解決することができています。
経営指針の共有に向けて、指針書を見やすいように手帳型にして配布しています。また、年2回の全体会議・月1回1時間のタウンミーティング(社長と社員の座談会)・週1回の朝礼(売上・粗利、一人当たりの加工高・労働分配率・工場の稼働状況の共有)で浸透を図っています。
毎年、課題を抽出し、経営指針を見直し、しっかり経営にフィードバックすることを大切にしています。

■自分たちの会社は自分たちでよくする

組織づくりとして最初に力を入れて取り組んだのが、委員会でした。目的は次の3つに定めました。
①部署間の垣根を越えたコミュニケーションの場にすること。
②自分たちの会社は自分たちでよくするような活動をすること。
③役割を持ち、成長の機会にすること。
導入当初は否定的な意見も多くありましたが、環境委員会が最初に大きな成果を残します。

(株)山田製作所(大阪同友会)へ環境委員会のメンバーと会社見学をした際に、スタッフが誇らしげに工場を説明してくれました。
その様子を見て、私たちは、「自社の工場に誇りを持って人に紹介できるようにしたい」と、目的を共にしました。それから、みんなで少しずつ実践をしていきました。整理整頓をして汚い壁と床を塗り、表示・標識を設置して、掃除のルールも作りました。今では一貫した制作ラインを実現する、自慢の工場です。
委員会の成果は他にもありますが、最大の成果は、みんなが主体的に行動できるようになったこと、コミュニケーションを取り合うことで、お互いを思いやる会社に成長できたことだと考えています。
 現在は委員会を発展させ、主に事業展開に関する課題解決を目的としたプロジェクト制度を取り入れています。昨年の「ないものづくりグランプリ」(※福岡県内製造業9社を中心とした自社商品開発プロジェクト)でグランプリを受賞したBtoCの自社商品、『おうちでピクト』も、制度の成果の一つです。

■社員の成長は企業の発展

同友会には、「共に育つ」という考え方があります。社員が育つ環境を整えるために、先輩社員が新入社員をしっかりと教えるよう体制を整えています。また、研修等を受けた際には、必ずレポートを作成することを定めています。そのレポートをグループウェアで共有することで、全員の気づきになり、コメントをし合うことで、モチベーションアップにも繋がります。

■社員が家族に自慢できる会社をめざして

私は社員と課題を共有し、めざすところ、解決することを確認して、社員と一つずつ解決していきました。
売上は15年間で増加し、社員数は倍増。女性も働きやすい環境を整えることができました。有給休暇取得率も上がり、残業時間・離職率は減少し、1人当たりの加工高は向上しています。会社の成長が数字で見えるようになりました。
これからも、社員が自分の子供に会社への入社を勧めたいと思えるような、若い人達がより魅力的に働くことができる、そんな会社をめざし、社員と共に育ちたいと思います。

<会社概要>㈱ブンカ巧芸社
設立:昭和33(1958)年5月31日
資本金:3,000万円 従業員数:91名
事業内容:
・各種看板の企画・製作・施工・メンテナンス
・広告看板の企画・製作・施工
・店舗内外装の企画・製作・施工
会社URL:https://bunkakougeisya.co.jp/