役員研修大学 第5講「よい経営環境をつくろう~中小企業憲章・条例の運動~」
- 開催日時:
- 2026/01/29(木)
- 会場:
- Zoom
- 人数:
- 28名
- 報告者:
- 中同協政策委員長 石渡 裕 氏((株)総合環境分析 取締役会長 神奈川同友会相談役)
- 文責者:
- 事務局 大塚
■中小企業憲章・条例制定運動の歩みと意義

同友会における中小企業憲章・条例制定運動は、2003年の福岡総会で提起されました。背景には、全国で100万筆を超える署名を集めた金融アセスメント法制定運動の成果がありました。法制定には至らなかったものの、金融庁の政策に大きな影響を与え、「中小企業家の正当な願いは国政を変えることが可能である」という確信をもたらしました。その後、運動は学習から制定へと進化し、2010年6月に中小企業憲章が閣議決定されました。
■中小企業は社会の主役という理念
閣議決定された憲章の冒頭には、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」と明記されています。これは同友会が長年主張してきた存在意義が、国によって正式に認められたことを意味します。
現在も同友会として、憲章を国民全体の認識とし、実効性を持たせるために、国政に対して中小企業の重点要望・提言を行っています。国会決議の実現や中小企業庁の省への昇格、担当大臣の設置を国に対して強く要望し続けており、これらの実現が中小企業憲章と中小企業振興条例を進めるうえで重要になります。
■地域経済を活性化させる中小企業振興基本条例の役割
憲章が国の指針であるのに対し、地域レベルでの実践となるのが中小企業振興基本条例です。2023年時点で制定自治体は830(全体の約45%)に達しています。
横浜市では、条例制定を機に中小企業振興部が設置され、市から地元中小企業への発注比率が50%台から70%近くまで引き上げられ、企業発展や地域の活性化につながっています。一方で、実効性が伴わず作成のみに留まる「できちゃった条例」があるのも現状です。これは制定時に同友会が十分に関わることができなかったことも要因の一つと考えます。
条例を真に地域経済へ役立てるには、会員が振興会議等に主体的に参加し、行政と連携して具体的な施策へつなげていくことが欠かせません。
■新しいステージにおける同友会運動の展望
人口減少や人材確保といった地域課題は経営課題そのものであり、これからの運動の方向性として示されたのが「新しいステージ」という考え方です。これは同友会運動が社会的に認められ、立ち位置が変化したことを指します。
運動の基礎を改めて確認する中で、推進の土台として3つの基本が重要になります。それは、①総会方針に憲章・条例運動を位置づける、②活動計画に学習と実践を組み込む、③各地で担当する組織・役員を置いて継続性を担保する、です。憲章・条例を学んで強靭な企業づくりにつなげ、国民運動として提言し理解を広げながら、条例を活用して行政と連携し地域経済づくりへ結びつけていきましょう。
■まとめ
憲章・条例は三つの目的の総合実践そのものです。同友会が積み上げてきた学びの歴史は、必然的に憲章・条例運動へとつながっています。中小企業家は、自社の利益を追うだけでなく、地域づくりの主体者としての誇りと自覚を持つべきです。地域の困りごとを解決することが仕事づくりにつながり、自社の課題と地域の課題を重ね合わせて活動することが、結果としてよい経営環境を創り出します。
ぜひ憲章・条例を自分事として捉え、今後の運動をどのように進めていくか考えるきっかけにしてみてください。

中小企業憲章について詳しく掲載されています。ホームページに添付のPDFをご覧ください。