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2025.05.27

「働く上での本当の喜びとは?」尾道支部例会

開催日時:
2025/04/15(火)
会場:
シネマ尾道
人数:
37名
報告者:
NPO 法人シネマ尾道 代表理事 河本 清順 氏
文責者:
(有)いっとく 山根 浩揮

かつて“映画の街” と呼ばれた尾道。だが2001 年、最後の映画館「尾道松竹」が閉館し、街から映画館が消えました。そんな中、再び映画の灯をともしたのが、シネマ尾道支配人・河本清順さんでした。
河本さんは京都で服飾を学び、帰郷後は家業の焼肉店を手伝っていました。子どもの頃、祖父と通った映画館の記憶が忘れられず、「このまま尾道から映画館がなくなるのは寂しい」と一念発起。2004 年に仲間と「尾道に映画館をつくる会」を結成し、自主上映会を開始しました。
地域の共感を得て2006 年にはNPO 法人化。河本さんは全国のミニシアターを視察し、手作りで映画館の設計と運営を学んだそうで、寄付や助成金を集め、ついに2008 年10 月、旧映画館跡に「シネマ尾道」が開館しました。

シネマ尾道は、単なる映画館にとどまらず、地域の文化拠点として、子ども向け映画教室や地域イベントも開催。関わる2025 尾道映画祭は過去最高の動員者数で、名だたる俳優の方々も来尾道され大成功に終わりました。

「街の営みと映画館は共にあるべきもの」と語る河本さん。例会準備の中で彼女と打ち合わせをしている際、「映画館で見るのと家でネットフリックスで見るのとどう違うの?」と問いてみました。そこで躊躇せずに彼女は、「映画館は記憶なんよ」と答えられました。確かに‼思い出ということなのでしょうが、我が記憶をたどってみると僕が初めて映画館に行ったのが、まさに現シネマ尾道である尾道松竹だったのです。そこで男女2 人ずつで、初デート?で、ドラえもんを見たんだったなと記憶が鮮明に蘇ってきました。仕事するにあたり、お客様の心に刺さる人生の1 ページになれるという事は、本当に仕事冥利に尽きると思います。

それでも「めちゃめちゃ儲かる仕事ではない」と語る河本さん。では何故これをやり続けられるのか?ココにこの先の仕事の在り方のヒントが隠されている気もします。
今時代が大きく移り変わる転換期であるといえます。そんな時に利潤だけではない「真の価値とは何か」を考えさせられる例会ではなかったでしょうか。情熱と地域の力でよみがえったシネマ尾道は、今も尾道の人々の心のみならず全国の映画ファン、映画関係者の心の火を灯し続けています。小生も良い「仕事」とは何かを問い続けながら、またこの同友会を通して学び続けていきたいと思っています。