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2025.07.29

「中小企業憲章」閣議決定15周年記念行事「ローカル・ゼブラ企業とは~地域課題解決型企業が持続可能な地域を支える~」

開催日時:
2025/06/24(火)
会場:
TKPガーデンシティ広島
人数:
70名
報告者:
中国経済産業局 総務企画部企画調査課長 中野 伸二 氏、(株)タテイシ広美社 会長 立石 克昭  氏(代表理事)
文責者:
事務局 本田

■ローカル・ゼブラ企業とは(中野氏)

ローカル・ゼブラ企業(以下ゼブラ企業)とは地域社会課題の解決と経済成長を両立させている企業のことです。ゼブラ企業の主な特徴は、①売上利益の拡大だけが目的ではなく、社会課題の解決が目的、②複雑な課題に多様な力を借りながら、時間をかけて事業を進めている、③長期的にステークホルダー全員の幸せをめざしている、④ビジョンが共有・可視化されている、の4つです。時価総額を重視するユニコーン企業に対し、社会課題解決と事業性の2つの側面を白黒に例えて「ゼブラ企業」と呼んでいます。
ゼブラ企業に対する国の支援は加速しています。その背景には人口減少や少子高齢化、都市部への人口集中などの地域社会課題が顕著になっていることがあげられます。

■パネルディスカッション

立石氏)
当社は人口約35,000人の府中市で看板を制作しています。正社員パート社員を含め140名を雇用し、社員の平均年齢は35歳です。
私は「故郷で錦を織り続ける」ことをめざしてきました。私にとって一番身近な地域は社員とその家族だと思い、2015年から「家族参観日」を始めました。社員の家族を会社に招待し、社内の見学だけでなく会社の考え方やビジョンを伝えています。
12年前からは府中明郷学園の模擬会社Linksに関わっています。Linksは、7~8年生(中学1~2年生)が主体となって、商品開発や販売、経理まで行っています。ここに当社を含めた地元企業7社が支援チームとしてサポートしています。

企業が小中学校に関わることで、子どもたちは将来、地元で働く場所があることを知るようになりました。当社にも明郷学園の卒業生2名が入社したほか、若い社員の入社が続き、採用に困らなくなりました。そのおかげで事業も広がっています。
気づかないうちに多くの会員企業がゼブラ企業になっていると思います。それは中小企業が地域に根ざしているからこそです。地域の皆さんと一緒になって中小企業の地位向上に取り組んでいきましょう。

中野氏)
 少子高齢化や人口減少が進む中で、企業の人材確保と定着はまさに地域課題そのものです。立石さんの会社だけではなく、府中明郷学園もゼブラ企業だと思います。私は昔からある日本の企業の多くはゼブラ企業だと思っています。企業がもっと情報発信することで、人材だけではなく資金も集まってくると予測します。
 ただ、地域課題解決の推進のためにはゼブラ企業単独ではなく、企業と地域をつなぐ地域中間支援と専門的な立場で支援する伴走支援の両方が必要だと言われています。中小企業家同友会は、まさしく地域中間支援の役割に当てはまると考えています。本日ご参加いただいた企業や行政、支援機関、金融機関の皆さんがそれぞれの地域で何が出来るのかを考え、運動として地域に広めていけたらと思います。

■コーディネーターまとめ

一社)広島県中小企業家同友会 専務理事 源田 敏彦 氏
ゼブラ企業について知れば知るほど、同友会型企業=ゼブラ企業だと思うようになりました。企業の皆さんには人間尊重の経営をめざす同友会型企業こそゼブラ企業だ、と自信を持って各支部で展開していただきたいと思います。
これからは自社の事業がどの地域に役立ち、地域課題解決の一助を担っているのか、社員とも共有できるように経営指針の幅を広げていくことも必要です。そして自社は地域や社会に必要な存在だと認められるよう、もっと自社の情報発信をしていきましょう。