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2025.07.29

2025年は人を生かす経営(労使見解)ができて50年の節目の年です

開催日時:
2025/07/20(日)
報告者:
(有)シャルダン商会 代表取締役 藤田 哲也 氏
文責者:
事務局 井谷

「社員と共に成長~人を軸にした10年ビジョン経営~」
(有)シャルダン商会 代表取締役 藤田 哲也 氏(県経営労働副委員長)

経営労働委員会では経営を学ぶ場を多数つくっています。では何を学ぶのか。藤田氏に伺いました。

■社員と一緒に

社員数は現在41名です。社員の平均年齢は38歳を下回りました。採用と昇給を続けています。2年前、売上の2割を占める約1億円の取引中止を決断しました。それは、その仕事を続けていたら社員が幸せになれないと判断したからです。
現在グループ全体の売上は約7億円になりました。採用や設備投資、昇給なども含め、数値管理は社員と一緒に行います。「このくらい採用しようと思うけど、いける?」と投げかけると、社員が給料や原価償却も含めた利益計画を立ててくれる。売上や利益の目標も、社員主導でつくられていきます。

週に一度のミーティングでは、行動を振り返りながらPDCAを回す文化が根づいています。できなかったことを責めるのではなく、「どうしたらできるか」を一緒に考える。それが、自主性の育成につながっています。
若手が増えると、経験が浅いため事故やトラブルのリスクも高くなる。だからこそ教育とルールづくりを徹底し、「怪我をしない」「人を傷つけない」ことを最優先に伝えています。最大限努力しても壁紙を傷つけてしまうことはある。でも、それは全力で謝ればいい。だけど、人や自分を傷つけることだけは、絶対に避けなければなりません。

■会社の器を広げること

最も重視している課題は、「会社の器を広げること」です。社員がどんどんやる気を見せてくれる中で、経営者は、それに応える責任がある。成長に応じたポジションや役割を用意する。器が小さいままでは、せっかく育った社員が力を発揮できません。
それと、やはり安全面で油断しないことです。以前、ピアノの運搬作業で社員がケガをした経験から、安全教育の必要性を再確認しました。最近は、社員が教育プログラムを提案してくれたり、課題に先回りして気づいてくれたりと、自主的な行動が増え、本当にうれしい変化を感じています。

■10年ビジョンの力

今、取り組んでいる10年ビジョンは6年目を迎えました。「みんなが活躍できる会社」「ライフワークバランスを実現する会社」という2つの軸を掲げています。建設業の免許取得やM&Aの実施など、ビジョンに向けた取り組みを進めています。特にM&Aでは、既存の枠を超えて挑戦したい社員に新たな活躍の舞台を用意するもの。社員の限界突破に応える準備を会社として整えています。
次の10年は、父がつくったこの会社をさらに長く続けていくためにも、次の経営者を育てていくこと。同時に、今の社員たちや外国人スタッフも含めて、もっと多様性のある組織にしていきたいです。

■対等な労使関係

採用で最も大事にしているのは「素直かどうか」。つまり、基本的なルール「スリッパを揃える、挨拶をする、時間を守る」を当たり前にできるかどうかです。
試用期間中にはルールを明文化して渡し、上司はただ指摘するだけ。「次はちゃんとしようね」と伝える。素直に「はい」と受け取れる人は育ち定着します。
 私自身、倉庫でヘルメットを被らずにいたところ、社員から涙ながらに注意されたことも。それだけルールを守る意識が会社全体に浸透している証拠です。
労使として立場の違いはあるが人としては対等。この信頼関係が、会社の土台を支えていると信じています。

■経営はしんどい。けど、面白い

私は「自己変革しないといけない」と焦っていました。先輩や仲間に具体的に悩みを打ち明けると、みんな本音で助言をくれる。それを経営指針書に落とし込み、経営に活かしています。経営指針書は「いい会社をつくるための絶対条件」だと思っています。
同友会の基礎講座、指針塾、経営フォーラムでは、経営に必要な知識が短時間で得られます。何を学びたいかを明確にして参加すれば、必ず気づきが得られます。経営だけでなく、人生のことも相談できる。私も、もっと成長していきたい。そのために同友会は経営者として生きていくための学びの場なのです。