「人を生かす経営」第43回福山支部定時総会 記念講演
- 開催日時:
- 2025/05/14(水)
- 会場:
- 福山ニューキャッスルホテル
- 報告者:
- (株)オーザック 取締役副社長 岡崎 瑞穂 氏(代表理事)
- 文責者:
- 事務局 保田
5月14日(水)第43回福山支部定時総会が行われました。記念講演では、(株)オーザック 取締役副社長 岡崎 瑞穂 氏に、「社員が幸せになるための会社づくり~会社の成長は社員満足から~」と題してご報告いただきました。講演の概要をご紹介します。
■経営指針は社員教育の教科書

(株)オーザックは、2025年10月に創業80周年を迎えます。現在、社員数は45名、過去6年間の定着率は新卒採用で100%、中途採用で95%です。
3年前の社長交代以降、「Purpose(パーパス)」、「CoreValues(コアバリュー)」を導入し、性別・年齢・国籍・障害の有無を問わず、多様な人材を雇用し、それぞれの良さを活かす経営をめざしています。
1990年、現在の会長が同友会へ入会しました。入会1年前の当社は、近所の人だけが働いてくれる職場でした。平均年齢は54.5歳、このままでは10年先に会社がなくなると2人で話していました。
入会後、社員の不平不満の中から、会社の改善点を見つけ出し、社員の声を聞き入れることに取り組みました。できないことは理由を説明し、経営者が間違っていることは認めて謝罪し、社員が間違えていることは社員教育で対応し、改善を重ねました。教育訓練、不良品を出さない、クレームを減らす、残業を減らす、会議など、さまざまな仕組みづくりを行いました。
1993年からは新卒採用を開始し、毎年2~3人採用できるようになりました。しかし、採用しても人が辞めていくため、経営理念・経営指針を作成しました。そこから現在に至るまで、経営指針の浸透を継続し、社員教育の教材・教科書として活用しています
■厳しい経営環境の中で
バブル崩壊で資金繰りが厳しくなった際、一部上場会社の取引先が倒産し、1500万円の未収金が発生しました。資金繰りのことばかり考え、眠れない日が続きました。経費を削減しましたが、業績不振で、採用する余裕もなくなり、最後は社長の給料が取れなくなりました。しかし、社員のリストラや給与の減額は行わず、僅かですが昇給も払い続けました。
■社員とその家族の幸せを願って
「人間尊重の経営」を再確認し、どんな人も1人の人間として尊重して生きていこうと思った出来事があります。私の父が心臓病を患っており、発作が起きた際のことです。朝から翌朝まで看病する母が、「しんどかろう」と父に声をかけると、「あんたの方がしんどかろう」と息を引き取ったと聞きました。自分のことばかりではなく、周りの人のことを考えなさいと両親は命をかけて教えてくれました。経営者の意識が変わると社員にも伝わるのか、社員もオーザックの仲間は家族だと思ってくれるようになった気がします。

当社にも、社内の雰囲気が暗くなった時期があります。しかし、経営者の意識が少しずつ変化し、社員が生産性を意識した働き方をしてくれるようになったおかげで、次第に会社が元気を取り戻していきました。
仕事と家庭の両立支援として実施しているのは、「育児休暇制度(男性社員も取得)」「キッズルームの設置」「広島へ転居する社員の在宅勤務制度の活用」「年休以外の「看護休暇」「地域活動休暇の設置」「コミュニケーション費の補助制度によるランチミーティング」など、社員とその家族の幸せを考え、制度の構築に取り組んできました。
先日、社員の奥さんと話をしている中で、「会長や副社長のおかげで、主人は仕事も家のことも頑張ってくれ、幸せに暮らしています」と言ってくれました。とても嬉しく思います。
今後もその社員とその家族に限らず、人の幸せを追求しながら、会社経営をしていきたいと思っています。