企業変革支援プログラム活用と自社診断方法~実践事例報告による理解の深堀と変革項目優先順位の選定~
- 開催日時:
- 2025/06/10(火)
- 会場:
- ひと・まちプラザ
- 人数:
- 13名
- 報告者:
- ㈱グローバルロード 代表取締役 梶川 真路 氏
- 文責者:
- 事務局 大塚
■当社について

当社は「快眠」をサポートするアイマスク、耳栓などを開発し、「眠りが楽しみになる睡眠ブランド「NeyoWell(ネヨウェル)」を提供しています。
社員は2名、副業・業務委託契約に基づく外部スタッフ20名と共に事業を展開しています。私はもともと父の会社を継ぐ予定でしたが、リーマンショックの影響で廃業。その後、35歳で会社を設立。輸入販売を始め、一時は業績も好調でしたが、過剰在庫や資金繰りの悪化により、大きな赤字を抱えるようになりました。社員の解雇や資産売却を経て、再スタートを切るも、社内では意見の衝突や無気力感が続いていました。そんな時、広島県の支援拠点を通じて同友会を知り、2023年9月に入会。経営に大きな転機が訪れました。
■気づきと行動がもたらす自己変革
入会してすぐに「経営基礎講座」へ参加しました。当時の経営理念は、私も思い出せないほど曖昧なものでした。売上目標はあったものの、「いつまでに何を達成するべきか」が明確になっておらず、何から手につけていいか分からない状況でした。
そんな中、講義を通じて「企業変革支援プログラム」に取り組む中で、経営課題を“見える化”することの重要性を実感しました。
企業変革支援プログラムとは、中小企業の経営者が、自社の経営に関して、自己診断を行い、自社の経営課題を明らかにして、変革を進めるために作成されました。いわば会社の健康診断のようなもので、自社の強みや弱み、あるべき姿と現状との差を確認することができます。課題ごとの緊急性と重要性の数値化することで、どの課題に優先的に取り組むべきかを把握できます。成熟度レベル0~5までの6段階に分かれているので自社の立ち位置を客観的にみることができます。
私が取り組むべき優先項目は、理念の見直しと社内外への理念の発信でした。企業変革支援プログラムに登録してみることで、何から取り組むべきかを導いてくれるのです。
■理念とビジョンを軸とした経営の実践

経営基礎講座と経営指針塾を通じて、「経営指針書」の必要性を強く感じるようになりました。経営者が何を大事にし、どこを目指しているか方向性が定まります。目指すところが見えると、社内全体で目標に向かって目線を合わせやすくなります。
初めて作成した理念は4つありましたが、社内で浸透しなかったため、経営理念の見直しを行いました。現在は「眠りから喜びと感動を世界中に」という、短く覚えやすいフレーズに再設計をしました。これら指針書を取引先や銀行に共有したことで、社内でも共通認識が生まれました。
またリソース不足が経営課題であると気づき、副業サイトを活用して専門性の高いプロ人材を業務委託として採用しました。外注業者に依存する体制から理念に共感してくれる専門人材を中心としたチーム体制へ転換することで、商品企画やデザイナーなど各分野で少人数でも高い専門性を活かした体制をつくることができました。
経営理念や10年ビジョン、経営方針を明文化することで、「何を目指し、何に集中するか」が明確になりました。業績が思わしくない時でも、明るい未来を描くことができ可能性が広がり、希望を持って経営に取り組めるようになりました。今では、「みんなのために利益を出して、働きやすい環境を提供したい」と心から思えるようになりました。
■変革への第一歩
指針書は、単なる計画書ではありません。「実行して検証しつづけること」が何より大切です。変化の激しい経営環境の中で、常に自身の軸を確認し、社員と共有し続けるために大切な道しるべとなります。
企業変革プログラムを活用し、自社の出発点を明確にすることで、指針書づくりへと繋げてください。経営を根本から見直すきっかけを与えてくれます。
自社の現状をしっかりと見つめ、ぶれない軸を持つことが未来への確かな一歩につながるでしょう。