令和の動乱が始まった「採用戦国時代」を勝ち抜くイロハ ~「採用」と「教育」と「わが社」~
- 開催日時:
- 2025/07/16(水)
- 会場:
- イマトスペース
- 人数:
- 40名
- 報告者:
- テクノス三原(株) 代表取締役 向田 尊俊 氏
- 文責者:
- 事務局 中野
わが社は非破壊検査を中心とした検査・調査をする会社です。三原市宮浦町を中心に国内外に事務所を構え、社員数は現在140名です。
私は2003年に自社へ戻りました。当時、会社に危機感を感じ、すぐ採用活動をしました。ハローワークと新聞広告で行っていましたが、今いる社員より優れた人材が面接に来ることはありませんでした。面接にジャージで来る方もいました。そこで、今いる社員を育てた方が良いと感じ、社員教育に力を入れました。
当時は技術スキルアップの教育を行っていました。採用→教育訓練→有資格社員としての業務→売り上げ増→採用を繰り返していました。
その時のわが社は、新しい社員が入社しても他人事、給料以外の仕事はしない雰囲気でした。

■3人のレンガ職人
スキルアップした社員が増え、同じ検査業務しか行っていないのに給料を上げていかなくてはいけない。しかし売り上げは変わらない。この現状に限界を感じ、以前勤めていた会社の同期に相談しました。すると、イソップ寓話の「3人のレンガ職人」という話を教えてくれました。
昔、中世ヨーロッパに3人のレンガ積み職人がいました。職人Aは「仕事としてレンガを積んでいる」人です。職人Bは「お金を稼ぐためにレンガを積んでいる」人です。職人Cは「後世に残る偉大な大聖堂をつくるためにレンガを積んでいる」人です。
皆さんはどの程度の気持ちで働いているでしょうか?わが社で働く社員さんのほとんどは職人Bでした。ですが、自分が頼む側になると、職人Cにお願いをしたいのです。これがマーケットの声です。お願いをする人が職人Cに集中すると値段が多少高くても、そこにお願いをするのです。
当時、私も職人Bの気持ちで働いていたので、職人Cのような働き方の会社にしたいと本気で思いました。
■新卒採用への取り組み
そのためにまず始めたのが新卒採用です。1年目に2名の学生が入社しました。2年目には東京の合説へ、昨年採用した社員と一緒に参加しました。新卒採用の効果として、素直で頭もよく、試験も一発で合格するような社員が増えました。また、既存の社員さんが焦りだし、自分から動き出すようになりました。そして、会社全体で新卒社員を大切にしようという雰囲気になりました。
■社員教育の変化

新卒採用に取り組む前の社員教育は「お金儲けのための教育」でした。資格についての座学と現場任せのOJTを行っていました。新卒採用後は、新卒向けや管理職向けの研修を行うようになりました。
これまでは給料が高くなれば働いてくれるだろうと思っていました。役職に応じたミッションを与えること、評価制度を導入し、真に頑張っている人に光をあてるようにしました。
また、働きやすさから働きがいの改善に変えました。わが社の働きがいは「ブランド化」だと考えています。ブランドとはお客様との約束だと教えていただきました。社内でのブランディング化として、「経営理念に基づいた事業活動を全社員が等しくできている状態」に取り組んでいます。
■何をめざし、どう行動していくのか
同友会の3つの目的は「人を雇用して組織のある会社経営にすること」を指しているのだと思います。
現在、合説に学生は来ません。大企業による新卒賃金が激増しており、3年時点でのインターシップからの囲い込みが始まっています。そのため採用をしようと思っても厳しい環境になっているのが事実です。
採用ができるかどうかが今後の会社経営を左右します。わが社では採用を安易なものにするために、給料を上げ続けています。赤字になってでも、今人を採用しないといけないと感じています。そのため、短期間で集中して、ミッションを与え、経営理念を理解してもらいながら職人Cの集団をめざしています。
未来は、経営者自身が「何をめざすか」で決まります。そして、2~3年後を見据えて今動くしかないのです。自分が何をしたいのか明確にし、すぐ行動していきましょう!