GO―WEST 「人のつながり」から、地域を変える
- 開催日時:
- 2025/08/20(水)
- 報告者:
- アイエーアイ(株) 代表 藤本 勝己 氏(西)
- 文責者:
- 片山出張はりきゅう院 片山 章
アイエーアイ(株) 代表 藤本 勝己 氏(西)
設立年月:2020年3月
資本金:100万円
事業内容:ホームページの制作、ECサイト保守管理、UI/UX改善など
https://www.iaiweb.co.jp
“わかりにくいIT”を、現場の課題解決に
広島市中区寺町にあるアイエーアイ。ウェブ制作、ECコンサルティング、DX推進支援、講師活動まで幅広く行う少数精鋭の会社です。代表の藤本勝己さんは、自らもプレイヤーとして現場に立ち続けています。
「ITって『何をしてるのかよくわからない』って言われがちなんです。でも本質はシンプルで、『目の前の困っている人をどう助けられるか』という問いの連続なんです」
実際、広島大学と取り組んだ大規模なUI/UX改善プロジェクトでは、複雑で使いづらかった大学の情報システムを全面的に再設計。数千件にのぼる問い合わせの削減や、アクセシビリティ向上に貢献しました。
「『おしゃれなサイト』より、『使いやすいサービス』を。誰のために何を解決するか。そこにこだわってきました」

社名に込めた、情報設計と“居合”の精神

「IAI(アイエーアイ)」という社名は、“Information Architecture Ism(情報設計主義)”の頭文字。そして、藤本さんが続ける武道「居合道」からもインスピレーションを得たといいます。
「居合では“無音”の空間で自分と向き合う時間があります。それが、課題に静かに向き合う今の仕事と重なる感覚があって。社名のロゴも“パソコンを刀で切る”デザインになってるんです」
現在は5名体制で、プロジェクトに応じて外部のフリーランスとも柔軟に連携しながら業務を遂行。案件は地元企業から全国区のプロジェクトまで多岐にわたります。
積み重ねた道が、仕事の礎に
藤本さんのキャリアは、決して一直線ではありません。高校卒業後、工場勤務から営業職へ。その後、独学でウェブ制作を学び、24歳で業界入り。20代後半には一度フリーランスとして独立したものの失敗し、再び企業に勤め直し、2020年に法人化を果たしました。
「遠回りだったけど、工場現場も営業も全部、今の自分に活きています。異業種出身だからこそ、“技術ではなく相手の課題から考える”癖がついたのかもしれませんね」
技術力もさることながら、常に「使う人目線」で物事を考える姿勢が、多くの企業から信頼を集めています。
東京に行かなくても、学べる場を広島に

イエーアイでは業務の傍ら、藤本さん自身が専門学校・大学・職業訓練校で講師も務めています。IT業界の現場を知る立場として、学生たちに“リアル”を伝えることにも力を注いでいます。
「PCに向かってるだけの仕事に見えるかもしれないけど、地道な積み重ねで“いつの間にか誰かにできるようになってる”っていう実感がある。そんな仕事です」
さらに、勉強会やイベントの主催にも積極的。東京の情報格差に危機感を持ち、「じゃあ自分が広島に持ち帰ろう」と10年以上、学びの場を自主的に企画してきました。
同友会で得た、支えと学び
そんな藤本さんにとって、広島県中小企業家同友会の存在は大きな支えになっています。
「正直、経営に苦しんだ時期もありました。でも、同友会で出会った経営者仲間が本音で話を聞いてくれた。1人じゃないと感じられたことが、大きな励みになりました」
今では広報フェスの実行委員として、広島全域を巻き込んだイベント運営にも尽力。県内外から実力派の登壇者を呼び、「学びを共有する文化」をつくることに力を注いでいます。
広報フェス:https://pr-hiroshima.com/
必要とされる存在として、静かに地域を支える
ウェブ制作という枠を超え、大学のシステム改善、大手商社の環境プロジェクト、地域企業のブランディング支援まで。藤本さんの手がける仕事は広がりを見せています。
「会社を大きくしたいというより、『必要とされる存在』であり続けたい。そのために、技術より前に『人との信頼関係』を大事にしていきたいですね」

藤本さんの根っこにあるのは、華やかさではなく「人と人との信頼関係」。技術も組織も、その信頼の上に成り立つものであることを、言葉の端々から感じさせてくれる。