「人を不幸にする会社なんていらねー！～お金・人脈・仕事ゼロからの復活劇」呉支部例会

■「最高の会社を作る」

高校卒業後は職人の世界に入りましたが、勤務先の倒産や無職の苦しみを経て、「最高の会社を自分で作る」と決意します。個人事業主として10年働いた後、2013年に同友会との出会いをきっかけに法人化を果たしました。最初は中古住宅の買取再販から始め、自己資金で初の建売住宅に挑戦。利益はわずかでしたが、それが注文住宅の受注につながり、現在では新築、リフォーム、不動産再販、賃貸運営など幅広い事業を展開しています。
注文住宅の受注が増える一方で、利益が残らず、苦しい日々が続きました。原価や利益率への理解不足、曖昧な経営方針が原因でした。そんな中、同友会の経営労働委員会に参加し、「経営指針塾」で学ぶ機会を得ます。

仲間の支えを受けながら経営指針書を作成し、業務の見直しや利益率の設定、職人作業からの撤退など改革を進めました。買取再販や収益物件にも挑戦し、利益は安定。しかし、次第に成功に酔いしれ、無駄遣いや傲慢な言動が増え、社員との信頼関係がだんだん崩れていきました。
創業20周年を前に、社員への配慮を欠いた経営指針や自身の社員へのパワハラ的言動に気づき反省します。「本当に作りたかった会社とは何か」を改めて問い直すようになりました。

■社員と共に経営理念を「育てる」

報われなかった従業員時代や独立後の苦労を経て、「最高の会社を作る」と誓ってきた私は、ようやくその本当の意味に気づきました。それは、社員や協力業者が安心して働ける、普通の暮らしが守られる会社。専務の「会社がなくなったらみんなが困るじゃろ」という一言で目が覚め、もう一度会社をつくり直す決意を固めました。

採用と教育を最重要課題に掲げ、制度整備や求人活動を本格化。初めて女性社員を採用したことで、職場環境も改善し、「この子のために頑張ろう」と心を動かされました。
その後も採用が続き、社員とともに経営指針書を見直す文化が根づきました。社員の提案から生まれた新たな理念「真工務店だから面白いよ」には、自由な家づくりと楽しい職場づくりへの想いが込められています。今後はこの理念を、社員と共に育てていく予定です。
社員の声をきっかけに、会社の未来を描く「30年ビジョンマップ」づくりも始まりました。社員一人ひとりの夢や希望が集まり、会社への信頼と期待を実感。事業承継も大きな課題でしたが、息子が「考えてもいい」と前向きな返答をくれ、後継者としての希望が見えてきました。社内では「始める・やめる・続ける」を軸に改革を進め、接待費の見直しやSNS運用の内製化など、社員主導の改善が進行中です。同友会活動への理解も深まり、経営指針書の実践が定着。さらに、地域とのつながりを強めるため新事務所を開設し、社員のアイデアで地域交流イベントも開催しています。

■自分自身が最大のリスクだった

次なる挑戦は新卒採用です。社員たちはインターンを通じて若者の声を聞き、理想の職場づくりに取り組んでいます。以前は「社員を雇うのはリスク」と思っていましたが、実際に採用してみると、社員は会社に夢や希望を持って入社してくれていたことに気づきました。その思いをくじいていたのは、自分自身の言動や環境だったと深く反省しています。社員は、「必要とされている」と感じることで意欲的に働き、会社の未来を共に築いてくれる存在です。この経験から、会社の成長を妨げる最大のリスクは「自分自身」だったと痛感し、学び続ける決意を新たにしました。
　同友会との出会いから13年、指針書づくりに8年。これからも社員と共に、誠実で強い会社を目指していきます。そして、同友会の学びを活かしながら、皆さんにも「強い会社づくり」に挑戦していただきたいと願っています。

＜会社概要＞（株）真工務店
設立　2013年12月　資本金　500万円
社員数　7名
事業内容　新築（木造、鉄骨造）、リフォーム、不動産、外構工事
URL　https://www.makotokoumuten.co.jp/