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2025.11.27

【特集】経営フォーラム2025「人を生かす経営の総合実践で地域と共に変化に挑む!~誰もが輝く21世紀型企業づくり~」

去る10月7日(火)、リーガロイヤルホテル広島&TKP広島本通り駅前カンファレンスセンターにおきまして「経営フォーラム2025」が開催されました。呉支部は4年ぶりに分科会の設営を担当しました。
分科会を終えた報告者・座長・室長・設営チームメンバーの感想をご紹介します。

《報告者》三工電機(株) 上川 博之 氏
「『宝者』と『宝物』という一生の財産」

今回、「夢中って最強。」というテーマで、人に支えられて歩んできたこれまでの人生を振り返り、夢中になることで「人を動かす力を生む」ということを本当に素敵な舞台で報告させて頂きました。
報告づくりの過程を振り返れば、これまでの時間そのものが“仲間と夢中になること”の意味を実感できる、素晴らしい時間でした。
今回のお話をいただいた当初は、「聞きたい人にだけ伝わればいい」と甘い考えをもっていましたが、分科会の仲間たちが「本気でいいものをつくろう!」と真剣に取り組み、私の報告づくりに関わって頂いた同友会の方々に、時に厳しい言葉を頂いたことで、自分の未熟さと本音に気づかされました。仲間たちの本気が伝わり、私の心にも火がつきました。

互いの情熱が重なり合い、やがてチーム全体がひとつの想いで動きはじめ、最後には同じ熱で涙を分かち合える関係を築くことができました。
「本気は伝わる」。発表の中でお伝えしたこの言葉は、まさに私自身の実感です。
分科会の最後で、分科会の仲間たちから父の手紙をサプライズでいただきました。「素晴らしい仲間ができた」という宝者と、「仲間から頂いた父の手紙」という宝物。この二つは、私にとって一生の財産となりました。
最後に、この貴重な機会を与えてくださった同友会の皆さま、そして何より、共に夢中で走り抜けてくれた仲間へ、心から感謝申し上げます。

《座長》富田肥料(株) 富田 文平 氏
「大きな飛躍のための売上目標100億円」

座長として報告作りを進める中で、どうしても避けて通れない疑問がありました。一つは「売上目標100億円」という数字の必要性でした。現状の売上から見ると非現実的とも思える数値目標を掲げる妥当性がどこにあるのか。その疑問が解消されない限り座長としての仕事が完遂できないと思いました。
報告作りの当初から、上川氏にこの疑問をぶつけていました。その問答の中で彼からは「本質的には100億円でなくても構わない。

数字そのものに意味はない」であるとか、「極論を言えば、達成できるかどうかは重要ではない」といった言葉が返ってきました。疑問はさらに深くなりましたが、上川氏との話し合いを繰り返した結果、だんだんとその答えが明確になっていきました。
結論から言うと、彼は組織を変えたいがためにこの数値目標を設定した、ということでした。
彼が思い描く会社の使命を体現するためには、社員が既存の意識のままでは成し得ない。よって現状の意識を大きく変えるために(=今までの考え方から大きく脱却してもらうために)、これまでと同じやり方では達成できないような数値目標が必要だったというわけです。
人は、大きな目標を与えられたときにはじめて、自分がどう変わらなければならないかを考えるようになるそうです。これを「ラス(=RAS:脳の保守的な神経系)が発火する」というそうです。
言い換えれば、頑張れば達成できそうな目標では、人はコンフォートゾーンから脱却できず、既存の発想から抜け出せないということになります。
上川氏が描く会社像は現状の延長線上にあるのではなく、大きな飛躍の先にあるからこそ、100億円という壮大な数字を掲げる必要があったわけです。
氏の思いは見事に社員全員に伝播し、いま三工電機は劇的な変貌を遂げつつあります。彼と会社のさらなる発展を祈念するとともに、自分自身も変革していこうと決意を新たにする貴重な機会となりました。
おかげさまで分科会アンケート第1位となりました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

《室長》(株)T-Linkタイヤサービス 加藤 泰一 氏
「改めて自らの『使命』と向き合う」

9月4日の支部理事も交えたプレ報告では、多くの方々から貴重なご意見・ご指摘をいただきました。
その後、上川さんをはじめ実行委員会メンバー全員が、真摯に向き合い、議論と準備を重ね、全員が心を燃やして本番の舞台に立ちました。結果として「最高で最強の報告」となり、関わらせていただけたことに心より感謝申し上げます。
室長としては大きな役割を果たせたとは思っておりませんが、前室長である白井健人さんからのご指名を受け、その思いを胸に、出来る限りのサポートと雰囲気づくりに努めてまいりました。微力ながら、チームの一員として貢献できたことを嬉しく思います。
経営フォーラム2025・第4分科会を、この素晴らしい仲間たちと創り上げることができたことは、私にとって大きな財産となりました。
この経験を通して、改めて自らの「使命」と向き合い、今後も日々をワクワクしながら歩んでいきたいと思います。
これからも、夢中の連鎖を生み出し、“Thank you・Technique・Trust”この3つの「T」を社員と共にLinkさせてまいります。

《分科会設営チーム》(有)エピック 石田 健太郎 氏
「『本気で』人と向き合い挑戦し続ける」

第4分科会設営チームに参加させて頂き、諸先輩方と共に報告づくりに取り組む中で、多くの学びを得ることができました。
例会づくりを進める過程では、自身のヒントとなる言葉を数多くいただきました。中でも、例会タイトルにもなっていた「夢中って、最強。」という言葉を体現されていた上川氏の姿勢には、尊敬の念を抱くと同時に、「負けたくない」という前向きな気持ちが芽生えました。

順調に進んでいると思っていた例会づくりでしたが、プレ報告の際に思いがけない酷評を受けることとなりました。今振り返ると、あの瞬間こそが分科会設営チームメンバー全員に火がついた転機だったのではないかと思います。
そこからは、互いに「本気で」関わり合いながら取り組み、結果として分科会アンケートで全体1位を獲得することができました。この成果は、まさに本気の関わりの賜物だと確信しています。
今回の経験を通じて、自社においても同友会においても、「本気で」人と向き合い、前向きに挑戦し続ける姿勢を大切にしていきたいと思います。

《第3分科会》平野自動車(株) 中下 真二 氏
「新たな実践を踏み出す一歩に」

第3分科会では、(株)西川組 代表取締役 高重直文氏と、(有)ベルエール 取締役 金口志織氏が、報告者として登壇。経営指針書の作成・実践する姿勢を語りました。
高重氏は、経営指針書を作成して社員と向き合いビジョンを共有して会社の未来を語り会社を成長させた実践と具体的な成果をあげられた報告をされました。
金口氏は初めての経営指針書作成を社員と共に作成され経営の転機とされました。
経営指針書作成によって過去のトップダウン・軍隊経営からみんなで経営に方針転換されました。

初めての経営指針書で社員の協力と共感を得られた好事例の報告でした。
参加者は、「あなたは、未来を誰と共有しますか」をテーマにグループ討議を行い、それぞれの現場に即した課題意識を共有。多くの気づきと学びを得る貴重な時間となりました。
報告を聞いて、変化の時代における「人を中心とした経営」の重要性を再認識し、今後の実践に向けた新たな一歩を踏み出す機会となりました。

《基調講演&第6分科会》(有)土本商会 土本 智 氏
「『変化』し続ける経営者でありたい」

基調講演は、大阪から来られた川口加奈さんによるご講演でした。川口さんは14歳の時にホームレス支援の現場を経験されたことを原点に、19歳でホームレス問題の解決を目指す会社を立ち上げられました。現在も、社会課題の解決に向けて自らが広告塔となり、当事者の声を代弁しながら活動を続けておられます。
講演では、ホームレス問題の背景にある構造的な要因――教育機会の欠如、家庭環境、行政支援の限界など――を丁寧に解き明かし、就労・住居・貯蓄の「三つの壁」を段階的に取り除く支援モデルについてお話しされました。

「知ったからには、知ったなりの責任がある」という言葉が印象的で、社会課題に対して“他人事ではなく、自分事として関わる姿勢”を強く感じました

第2部では、各分科会に分かれての討議が行われ、私は島根県同友会代表理事であり、モルツウェル(株) 代表取締役 野津 積さんが登壇された第6分科会に参加しました。
野津さんは、起業当初「ほっかほっか亭」のフランチャイズ経営からスタートされました。日本で初めて「温かい弁当の宅配モデル」を構築された際には、本部からルール違反として契約解除を言い渡されたそうです。しかし、売上で全国3100店舗中1位を達成したことで、そのモデルが高く評価され、本部自らルールを変更することになりました。野津さんはその経験から、「ルールを変える力は“1番になること”だと学んだ」と語っておられました。

この時に宅配の仕組みづくりを共に行った中村理恵氏は、後に「出前館」の前身会社のトップとなり、事業を1900億円で売却されたとのことです。紆余曲折を経ながらも、現在のモルツウェル社は年商18億円に成長し、今後は100億円企業を目指して事業拡大に取り組まれています。
野津さんは、人口減少や高齢化といった社会課題を“リスク”ではなく“ビジネスチャンス”と捉え、介護施設向けの調理済み食材サービスや配膳をワンオペでできるシステムなどを展開。AIやドローンなどのデジタル技術と融合させ、障がい者雇用にも積極的に取り組んでおられました。
また、2040年問題を見据え、優秀な人材確保を最重要経営課題と位置づけ、採用活動に経営資源の多くを投じておられます。今後6年間で130人を採用し、現150人体制から300人体制を目指すという明確なビジョンを持たれていました。昨年末から5月までの半年間で34人(総合職15名、作業職・パート19名)の採用実績があり、来年には早稲田大学出身の新入社員が入社予定とのことです。その新入社員を1年半にわたって取材したドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』が、フジテレビ系列で11月9日と16日に放映される予定です。
データをもとに社会課題を分析し、事業として解決していく姿勢や、社員一人ひとりの可能性を信じて採用・教育に力を注ぐ姿勢に、強く刺激を受けました。
懇親会には参加できず残念でしたが、「現状維持は衰退である」「維持発展こそが会社を続ける力である」という言葉が改めて胸に残りました。
今回のフォーラムを通じて、時代の転換期をどう乗り越えるかを考えさせられると同時に、変化を恐れず、自らが“変態(成長のための変化)”し続ける経営者でありたいと強く感じました。

《第7分科会》(株)ライフハック 光田 将章 氏
「政策提言・要望を経営者自ら発信しなければ」

現在、政策委員会では、政策提言づくりを進めており、来年の提出を目指しています。これに役立つものを見つける目的で当該分科会へ参加しました。
同友会が政策提言を始めたのは、創立後すぐとのこと。当時は、高度経済成長初期の好景気の反動による不況で、多くの中小企業が倒産や淘汰の波に直面していた為、中小企業を守り発展させるための経営環境改善の運動として始めたそうです。そうした中小企業の政策要望に応える形で、国が中小企業支援の基盤となる施策を実現してきたという歴史があります。
この歴史を池田氏が紡ぎ、今では40ページにも及ぶオリジナルの政策要望を作り上げ、中小企業を守り発展させようと陰ながら尽力して下さっています。

この政策提言は、毎年、国会議員に手渡され、中小企業支援の施策づくりに役立てて頂いており成果も出ている反面、要望が増えて続けているのが現状です
私たち経営者自身も積極的に発信する場を持つ必要があると考えた時、それが地方自治体における中小企業振興基本条例の制定であり、それを活かして地域の実情に即した課題解決を行っていくということが、地域から国を変えていくことに繋がることに気付かされます。
最後に、呉市が中小企業支援策を打ち出してくれていますが、いつも的外れだという意見があります。これは、そもそも我々中小企業が行政への政策提言・要望を行って来なかったことが大きな要因であることに気付かされました。また、来年の提出を見込む政策提言に役立つ事例もあり、大変有意義な時間を過ごすことが出来ました。