「ターニングポイントから未来への展望」呉支部 呉中央・呉南地区合同例会
- 開催日時:
- 2025/09/26(金)
- 会場:
- 呉森沢ホテル
- 人数:
- 27名
- 報告者:
- 呉精器工業(株) 代表取締役 中里 嘉孝 氏(呉支部 支部長)
- 文責者:
- 事務局 中野
我社は海上自衛隊や海上保安庁の船の機械の修理・メンテナンスをしています。社員数は29名、今年で75期目です。
本日の例会テーマでもある「人生のターニングポイント」は、大きく2つあると思っています。
1つ目は、人とのつながりなど、自分が意図しなかったことが結果に繋がったこと。2つ目は、設備投資など、将来のための意図的なものが考えられると思います。
■人生のターニングポイント
私が自社へ入社したきっかけは、大学生の時の母からの電話でした。当時父が体調を崩し入院・手術することになり経営者を続けることが厳しい状況でした。父から会社を継いでほしいと言われたことはありませんでしたが、会社の危機であるだけでなく、中里家の危機であると思い、会社を継ぐことを決めました。
入社して、取締役営業という役職をもらいました。我社は修理業ですので技術の仕事です。ですが自社の技術を知らなかったため、見積もりの作成もできず、営業にも繋がりませんでした。そのことを上司に相談し、現場にも関わるようになり、夜遅くまで仕事をする日々を過ごしていました。
ちょうどその頃、同友会へ入会しました。青年部例会での、合同呉運送の瀬島さんの報告に衝撃を受け、青年部活動に邁進しました。

■暗黒期
2000年には社長に就任しました。当時売り上げは1社依存の状態でしたが、社長就任の翌年、その依存していた会社が事業を撤退することになりました。とてもショッキングでしたが、外部環境の変化に対応するべく社員と色々話し合いを行いました。私も、自社の技術には自信があったため、営業活動のため造船所に足しげく通い、若さと情熱で仕事をもらい続け、売り上げを確保していました。
しかし、社員からは「社長は会社にいない。何をやっているかわからない」と言われていました。当時は中途採用が主だったこと、社員は父・祖父の代から働いている方が多かったため、若くして社長になった私に納得がいっていないのか、しばらく確執がありました。経営指針を発表しても反応が無く、自分の思いを継いでくれる社員からは、辛い時期だったと今でも言われます。
■新卒採用による会社の変化

2000年代初頭はITバブルが崩壊し、東京6大学の学生でも就職ができない状況でした。私はこれを新卒採用のチャンスだと考えました。そしてご縁もあり、地元の高校生を1名採用することができました。当時、同友会で求人・社員教育に力を入れて活動しており、そこでできた先生方との信頼関係・繋がりもあり、その後も新卒採用を続けて行うことができています。新卒採用を続けることで会社の空気が変わり、活気のある会社になりました。会社を良くするための意見が増え、若い社員が成長できる会社になりました。
同時期に、私が懇意にしていた、東京のメーカーを退職された方に入社していただき、防衛省への営業活動・情報収集のため東京事務所を作りました。
また、コロナ禍は売り上げも減り、社員のモチベーションを維持することが大変でしたが、補助金を活用しながら食いつなぎました。コロナ明けから徐々に仕事も増えていき、昨年事務所を移転し、新たな事務所で社員と仕事をしています。
■未来に向かって
ターニングポイントは「過去に起こったことが巡り巡って、今享受していること」「今取り組んでいることで、将来自分が恩恵を受けること」があると思います。
人生の中で「ああしておけばよかった」「こうだったら」と思うこともあると思います。今この時間を共有していることが新しいスタートであり、過去の見直しをする時期なのかもしれません。ぜひ、今日が皆さんの経営者としての良い経験の一部になればと思います。

〈会社概要〉呉精器工業㈱
設立:1951年 資本金:1000万円
従業員数:29名
事業内容:電動機、電子機器、船用機器製造・販売・修理、精密機械加工
会社URL:http://www.kureseiki.co.jp/