経営フォーラム2025 第5分科会「『人は変われる!』自己変革と輝業づくりは不離一体~誰でも持ち帰れる、前向き3つのルール~」
- 開催日時:
- 2025/10/07(火)
- 会場:
- TKP広島本通駅前カンファレンスセンター
- 人数:
- 69名
- 文責者:
- 事務局 井谷
■異骨相(いごっそう)という原点

私は高知県で生まれました。仲間からはよく「異骨相」と呼ばれます。頑固で豪快。弱い人には優しいけれど、一度決めた信念は曲げない。たとえ間違っていても、すぐには変えられない性分。そう言われ続けてきました。
高校を卒業して電気屋に就職しましたが、若い頃の私は本当にダメでした。集金したお金を半分使い込んでしまうという、取り返しのつかない過ちを犯したこともあります。父がなんとか穴埋めしてくれ、表沙汰にはなりませんでしたが、仕事も長続きせず、周りには悪い仲間ばかり。「このままじゃどうにもならん」。そう思い、高知を離れる決心をしました。
今日は、そんな過去を含めて「人は変われる」という話を、皆さんにお届けしたいと思います。
■経営は“生きるため、食べるため”
妻とは自衛隊で出会いました。一緒に訓練するうち、自然と惹かれていきました。
結婚後、2000年に妻が運送業を始めます。社名「ツインズ」は、仕事を限定したくなかったこと、そして「夫婦二人で始めた会社」という意味を込めています。創業当初は、生活は本当にギリギリでした。パチンコで食いつなぎ、「負けた方が仕事へ行く」という、今思えば意味不明なルールで暮らしていました。だいたい私が負けるので、3分の2は私が現場に。妻はパチンコ。もちろん、お金はすぐに底をつきました。
そんな中、2003年に同友会へ入会します。きっかけは学びではなく、ゴルフコンペで優勝して「入るよな?」と声をかけられたこと。本当に軽い気持ちでした。
会社は2006年に法人化し、神戸営業所を開設。順調に見えました。しかしリーマンショックが襲います。原油は78円から159円へ。資金繰りは一気に悪化し、通帳残高は262円。米と醤油、ソース、味噌だけで生き延びた2週間。醤油だけの焼き飯を三日続けて食べたことも。あの時期が、人生で最も堪えた瞬間でした。
それでも諦めませんでした。銀行に頭を下げ、取引先には支払サイトの変更をお願いし、なんとしても会社を生かす道を探しました。必死の思いで動き続け、倒産だけは避けることができました。
■組織の混乱と、気づいてしまった“根本原因”
危機を超えて岡山へ進出しましたが、ほどなくして社員トラブルが続発します。嘘、当て逃げ、そして退職。そのたびに私は腹を立てていましたが、やがて気づきました。原因は、すべて自分だった。「俺の言う通りにすればうまくいく」という慢心。
そして、経理を任せていた妻から突然告げられた言葉。「消費税と社会保険料、払えんよ。」通帳を見て初めて理解しました。「家業のままではいけない。お金は会社のものだ」。経営者としての自覚が欠けていたのだ、と。

私は苦渋の決断として、妻を経理から外しました。私自身の家族へ甘える構造を断ち切らなければ、未来は変わらない。そう覚悟した瞬間でした。税務署と社会保険事務所に約束した期日までに、必死にお金を工面し、全てを納めました。ここから、ようやく会社が「組織」として動き始めます。
■同友会での出会いと、意識の反転
入会して10年近くは、幽霊会員でした。しかし2013年頃、福山支部へ足を運び始め、企業変革支援プログラム、経営指針づくり、役員研修大学へと学びを深めていく中で、私は少しずつ変わっていきました。
福山支部の経営者からいただいた経営指針書を、自社用に丸ごと書き換えて発表した年もあります。その翌年、ようやく自社に合った指針書をつくれるようになりました。

この頃、私は支部の組織委員長でした。そして、今でも転機として記憶している理事会ボイコット事件が起きます。プレイングマネージャーとして時間を捻出しながら理事会に参加していましたが、意見が合わず、途中で腹を立てて帰ってしまったのです。異骨相の悪い部分が出た瞬間でした。しかし後日、ふと気づきました。相手の話を最後まで聞かずに怒る自分こそ、変わらなければならない。
そこから私は「怒らず、黙って、相手の意見を最後まで聞く」ことを徹底しました。すると、違う価値観が鮮明に見えるようになり、「これでいいんだ」と思えるようになったのです。
■200名支部の挑戦と、“苦手な3人”との組織づくり
2018年、支部長に就任したとき、会員は100名。例会参加者は30名ほど。私は「200名支部をつくる」と宣言しましたが、周囲には笑われました。「できるはずがない」と。
だから私は、自分が最も苦手だった3人に頭を下げました。「褒める、思考を促す、個々を尊重する、明確な役割を渡す、フィードバックを怠らない。これを私がやりきるから、力を貸してほしい」。苦手な相手だからこそ、頼りました。
そこから歯車が回りはじめます。私が意識したのは3つだけ。一つ、個々の価値と強みを理解すること。二つ、裁量と責任を与える環境をつくること。三つ、働く意味(ビジョン)を共有すること。私が「助さん・格さん・弥七」と呼んだ3人と共に、組織は大きく変わっていきました。
そして2024年、ついに会員200名を突破しました。自社でも同友会でも、仲間の力なくして達成できない。それを実感した瞬間でした。
■挑戦――運送業の未来と、私の覚悟
2024年問題で、運送業界は大きな転換点に立たされています。ドライバー不足、拘束時間の制限、利益の伸び悩み。私が決断したのは「事業選別」でした。
判断基準は3つです。一つ、利益を生むか。二つ、社員が誇りを持てるか。三つ、未来の成長につながるか。
その結果、倉庫事業に舵を切りました。運転時間の制限を受けず、物流全体を任される需要が高まり、利益も安定しやすい。その挑戦が実り、2024年度は5年前から目標にしていた売上3億円を初めて達成しました。
さらに私が力を入れているのが「受刑者の就労支援」です。e.doyuの掲示板で知り、最初はドライバー確保のためでした。仮釈放前から文通し、面会し、出所後の住まいや生活道具まで準備します。そこまでしないと、彼らは社会に帰る場所がないからです。定着率は1割。それでも、人は変われる。私はそれを信じています。残った人材は会社の大きな戦力になってくれています。
そのほか、3S活動や苗木生産など、少人数でも継続できる新しい柱づくりも進めています。
■誰でも実践できる「3つのルール」
最後に、今日お伝えしたい「すぐに実践できる3つのルール」を紹介します。
①キャスティング(人を見る目)。人には必ず価値があります。強みを見抜き、適材適所で役割を渡すこと。組織づくりの土台です。
②言行一致(実行力)。まず自分が変わること。自分がやって見せ、背中を見せることが、最も強いメッセージになります。
③強い意志・覚悟。決断し、覚悟する強さです。甘えを断ち切らなければ未来は変わりません。私が妻を解任したときのように、時に厳しい決断が必要です。

経営者である以上、自分の得意と弱点に向き合わなければなりません。人は変われる。組織も変われる。共に成長していきましょう。
【会社概要】(株)ツインズ
設立:2005年3月1日
資本金:1,000万円
年商:3億円
社員数:22名
事業内容:運送業(チャーター・代行・スポット)、一般労働者派遣事業、ペットショップ経営 他
https:// twins1019.com/