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2026.01.06

経営フォーラム2025 第3分科会 「指針書が示す新時代への挑戦~未来をデザインする成功の道~」

開催日時:
2025/10/07(火)
会場:
リーガロイヤルホテル広島
人数:
112名
報告者:
(有)ベルエール 取締役 金口 志織 氏(広島中支部・指針塾第8期生)、 (株)西川組 代表取締役 高重 直文 氏(尾道支部・指針塾第5期生)
文責者:
事務局 青芝

■父の経営から学んだこと

創業者である父は、強烈なリーダーシップで会社を率い、トップダウン型の「軍隊経営」と呼ばれるスタイルを貫いていました。私はその姿を尊敬しつつも、父の経営をそのまま受け継ぐのではなく、より良い会社にしたいと決心しました。しかし、心の中では軍隊経営を否定していたにもかかわらず、気づけば同じような経営を繰り返していました。次第に社員との関係は悪化の一途をたどり、幹部社員とは衝突を繰り返し、売上も低迷する一方でした。この状況を作った問題の根源は、私自身に経営者としての「覚悟」がなかったことだと気づきました。

■指針書を「みんなで作る」転機

悩み続けていた私にアドバイスを下さったのは、同友会の先輩方でした。背中を押されるように経営指針塾に申し込み、自分の言葉で社員に伝え始めましたが、思いはなかなか届かず、発表を前に苦しむ日々が続きました。そんな時私は、日常の何気ない会話の中で弱音を吐きました。すると一人の社員が「見せてください」と寄り添ってくれたのです。私が説明すると、その社員は仲間たちと一緒に考え、「こんな方向性ではどうですか」と提案を持ってきてくれました。さらにデザイン面まで協力してくれ、指針書づくりは次第に社内のあちらこちらへと広がっていきました。
最初は経営者として「一人で完成させなければ」と思い込んでいた指針書づくりでしたが、いつの間にか「みんなで作ろう」という雰囲気が生まれ、社員の声が反映された共同作業へと変わっていったのです。
このプロセスを通じて、指針書は単なる文書ではなく、社員と共に未来を描くための「宝物」へと育っていきました。

■社員の声が刻まれた宝物の指針書

こうして始まった指針書づくりは、私にとって大きな転機となりました。最初は「完璧な指針書を一人で仕上げなければ」と思い込んでいましたが、社員が次々と意見を寄せてくれるようになり、気づけば社内全体の共同作業へと広がっていったのです。ある社員は「言葉はもっと分かりやすくした方がいい」と提案し、別の社員は「こんなデザインなら見やすいのでは」と工夫を加えてくれました。私の自己開示がきっかけとなり、社員が会社の未来を一緒に考えてくれるようになったことは、何よりも大きな変化でした。

このプロセスを通じて、私は完璧な文書を作ることよりも、社員と共に悩み、考え、言葉を紡ぐ時間こそが価値あるものだと実感しました。指針書は単なる経営の道具ではなく、社員の声が刻まれた「宝物」となり、企業文化を育てる基盤となったのです。完成後、会社の雰囲気は目に見えて変わりました。「この内容を社内でも取り入れよう」「困っていることはないか」といった前向きな会話が増え、社員同士の関係性も深まりました。かつて激しく衝突した幹部社員も、今では私の右腕として重要な役割を担う存在へと変わりました。会社は社長一人のものではなく、社員と共に作り、社員と共に育てていくものです。指針書づくりを通じてそのことを強く実感し、私の経営観は「軍隊経営」から「みんなで経営」へと大きく変わりました。社員と同じ目線で未来を共有できることほど心強いことはありません。小さな言葉の積み重ねが会社の成長につながる、その実感が私の経営の原点となりました。

■言葉にすることの力

私が皆さんに一番お伝えしたいのは、言葉にすることの力です。どんなに強い思いを持っていても、伝わらなければ意味がありません。しかし、言葉にして残すことで思いは形となり、共有され、動き始めます。
指針書は完成品を示すものではなく、社員と共に悩み、考え、言葉を紡ぐ過程そのものが価値を持ちます。
だからこそ、指針書は社員と一緒に作っていただきたいのです。

私は社員を心から共に歩む仲間、家族、同志だと思えるようになりました。見つけた私の10年ビジョンは「ベルエールはクライアントの最高のパートナーであり、関わるすべての人を幸せにする」。社員と共に成長し続ける会社づくりを目指しています。

【会社概要】(有)ベルエール

設 立:1992年9月24日 資本金:500万円
年 商:7,780万円  社員数:12名
事業内容:広告業
URL:https://bellyell.co.jp/

■自分指針書からのスタート

移籍して3年で(株)西川組の代表取締役に就任しました。代表になり、社員とその家族の生活を守っていかなければいけないと本気で考えるようになりました。
そこから本気で勉強しはじめ、指針塾に入りました。
前後して、2年連続で高校生の新卒採用をすることができました。ここで社内の雰囲気が変わりました。そして新しいメンバーを加えて、4月に正式な経営指針発表会を行いました。
指針塾に通ってできた指針書の10年ビジョンは、「尾道の土木会社なら西川組と言われ、一番最初に声をかけてもらえる会社。若手社員が増え、技術も継承していき、活気のある元気な会社」。こんな会社になりたいなという私の思いだけのビジョンです。

ここまでが経営者の自己変革であり、自分が変わることによって、徐々に社内が変わっていったような気がします。

■みんなの10年ビジョン

同友会の先輩方に、社員を巻き込んだ指針づくりが大事だと聞いてました。まずは10年後の会社の姿や、社員自身の姿についてアンケートを取りました。その結果を踏まえて出したビジョンが、「現場のICT化、デジタル化に対応できる会社」、「売上10億を超える会社」の二つです。
当時の売上は4億7000万。10億は倍ちょっとです。このビジョンを達成する方法はわかりませんでしたが、指針書をもとに方向性の共有に取り組みました。
全体会議で経営指針の内容を共有したり、社員目線で就業規則の見直しもしました。全体会議もグループ討論をする形式にしました。社内の困りごとなどもグループ討論で話し合いました。同友会の学びをそのまま実践していきました。
2023年の全体会議では社員が「社長が来てくれて会社が変わった。若い社員が入社するようになったし、会社の雰囲気が良くなった。本当に来てくれてありがとう」と言ってくれました。

■カンボジア人社員の相談から10億への道のりが

カンボジア人社員のなんちゃんから「まだ日本で働きたいので何か良い方法ないですか」と相談がありました。今の制度では最長10年で帰国しないといけない。今や彼らはすごい戦力ですし、西川組にとっても戦力ダウン。カンボジア支店を作って呼び戻すシステムを考えつきました。彼らのような社員が増えれば、アスファルト舗装班を増員して高速道路の事業に参入できるんじゃないか。要望にも応えられて、10億の壁も突破できるんじゃないかと思いました。
最初はなかなかうまくいきませんでしたが、他県の業者さんとの電話をきっかけに、とんとん拍子でカンボジア支店開設の準備が進みました。
カンボジア支店の狙いは人材育成です。日本語が話せて車の運転ができるカンボジア人社員を育成して、2年後に高速道路に事業参入しようと考えました。現在の業務プラスの事業となるので、10億を超える可能性が大きいと考えています。
また、カンボジアはインフラ整備がすごく盛ん。現地でのアスファルト舗装業務などの可能性もある。カンボジアに進出することで、オンリーワン企業をめざしたいと思っています。

■経営指針の実践で、わくわくする未来をつかむ

経営指針の実践とは、「理念やビジョンを社員と共有し、そこへ向かって共に行動することで、企業改革が進み、指針で掲げた企業像に近づく成果が出ている状態」とあります。実践するとしないでは業績に大きな差が出ます。地道な積み重ねなど、継続こそが成果をあげる早道であると言われています。
まずは、経営者がその経営姿勢を示し、指針への理解を深めるため、社員と本気で関わることが大切ではないでしょうか。

そして、事実の共有化から、意味の共有化へ、さらには思いも共有していき、考え方の波長の共有化へ。そうやって深度を深めていくことが、真の共有になっていくのではないかと思います。
それと、経営指針の共有、社内環境の整備、求人活動、社員教育、これらは同時進行するのがバランスが良いと思います。大切なのは同友会で学んだことをいかに実践するかです。
最後に、今回なんちゃんの相談に真剣に考えて取り組んだことが、社員の考えた10年ビジョンを達成するための道筋になり、日本から海外への挑戦ができ、前に進んでいるということが本当にワクワクするし、楽しいです。本当になんちゃんに感謝です。
これからも、同友会で学んだことを実践し、さらなる成長をめざして頑張っていきます。

【会社概要】(株)西川組

設 立:1964年11月  資本金:2,000万円
年 商:5億9,000万円  社員数:36名
事業内容:土木工事、舗装工事、外構工事、建築工事、警備業、カンボジア支店
URL:https://nishikawa-gumi.jp/