役員研修大学 第3講「経営指針成文化と企業変革支援プログラムの活用」
- 開催日時:
- 2025/11/28(金)
- 会場:
- Zoom
- 人数:
- 30名
- 報告者:
- 中同協経営労働副委員長 玄地 学 氏(東洋産業(株) 代表取締役 宮城同友会 代表理事)
- 文責者:
- 事務局 大塚
■はじめに
当社は「生活環境の向上」を掲げ、宮城を拠点に事業を展開しています。事業の柱は、①ビルメンテナンス資材の販売(ワックス、洗剤など)②食品衛生に関する資材・サービス、③ヘルスケア領域(洗濯・乾燥機や専用薬剤等)の提供です。
2005年に同友会へ入会後、支部・地区の役員を務め、経営指針づくりと実践運動を当社経営の中に取り入れ、実践してきました。

■経営指針作成による変化

社員と一緒につくる経営理念がほしいと思い、約20年前に経営指針を創る会を受講しました。しかし、その中で10年ビジョンをなかなか作成することができませんでした。10年先など分からないと考え、ひとまず3年後をどうするかに目を向けていました。
そんな時、先輩会員に「10年後、会社はつぶれている未来が見えているでしょう?」と指摘をされました。実際、床材の変化や労働力不足による省人化機器の普及により、ワックスの需要は10年で約50%減少する予測が出ていることを認識していました。10年後の現実と向き合うことが怖かったのです。「あなたの会社はそれでいいの?それなら今、何をしないといけないのか」と言われて、初めて本気で向き合い、経営理念の作成や事業定義の見直しに取り掛かりました。
■事業定義の見直しと実践の工夫
当時、卸売業であるがゆえに価格決定権を持てないことが課題でした。そこで価格決定権を得るため、メーカーになることを決断しました。しかしどのような領域で何を販売するのか見当がつきませんでした。
そんな時、地元の新聞で入浴施設におけるレジオネラ菌の発生により死者が出た記事を見ました。その他の入浴施設でも、基準値を大きく上回るケースがあり、感染症例数も年々増加していることを知り、これは地域の困りごとであると思いました。
そこから浴場泡洗浄システムの開発に取り組み、価格決定権を持つ自社ブランド商品を持つことができました。清掃資材商社としての強みを活かしながら、メーカーとして新たな領域を確立しました。
現在は行政や保健所とともに、レジオネラ対策の啓蒙活動にも取り組んでいます。当社の歴史や立ち位置などを改めて整理して、指針を見直したことで“総合衛生プロデュース”へと事業領域が広がりました。これは当社にとって大きな変化だったと感じています。
■企業変革支援プログラムVer.2の活用と実践

当社では企業変革支援プログラムVer.2を活用し、課題抽出にとどまらず、社員との対話を通じて具体策をつくることに力を入れています。
実際、取り組もうとすると、とても時間がかかり、やるだけで疲弊してしまうという声も聞きます。そこで宮城同友会では短縮バージョンで上手に活用しています。
初めにP12~13のエントリー自己診断を記入。P77 変革優先順位シートに転記して緊急性・重要性を判断して、優先順位を決めます。その中で1~2項だけに絞り、「気づき」や「今後の取り組み」について社員さんに書いてもらい、現場の困りごとや改善案を“見える化”します。その声を方針へ落とし込み、各部門と連動させることで、やらされ感ではなく主体的な取り組みに変えていくことができます。実際取り組む中で、優先順位を選定することで、具体的な行動が明確になりスムーズに取り組めるという声がありました。
企業変革支援プログラムVer.2は、社員と考え方をすり合わせるコミュニケーションツールとして活用してみてください。
■現状認識と対話から
外部環境が厳しさを増す中でも、変革は「正しい現状認識」と「社員との対話」から始まります。社員と共に経営指針に取り組めていない原因は、一緒に現状認識をしていないからです。いつの間にか社長一人のための経営指針書になっていませんか。自社の現状を正しく把握して、目指すべき方向性を示すことは経営者の重要な責任です。
現状を共有し、方針に入れ込みながら実践を重ねる。この積み重ねが社員の誇りと顧客からの信頼を高め、地域で選ばれる企業づくりにつながります。
企業情報 東洋産業(株)
設立:1985年
資本金:1,800万円
従業員数:11名
事業内容:ビルメンテナンス事業・フードサニテーション関連業務・ヘルスケア事業
URL:http://www.eco-toyo.co.jp/index.html