専門家さんに聞いてみよう
- 開催日時:
- 2026/02/21(土)
- 報告者:
- 真行政書士事務所 代表 ナカマヤ まこと 氏
- 文責者:
- 真行政書士事務所 ナカマヤ まこと
真行政書士事務所 代表 ナカマヤ まこと 氏
「会費やコンサル料なら問題ない?」はもう通用しない
■改正行政書士法で整理された「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という考え方と実務への影響
今回は、令和8年1月1日から施行される行政書士法の一部改正のうち、特に中小企業の経営者の皆さまに知っておいていただきたい「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」(19条1項)という規定について、制度の背景と実務上の影響について具体例を交えながらお話しします。
今回の法改正では、従来から存在していた「行政書士でない者が、他人の依頼を受けて報酬を得ながら業務を行うことを制限する規定」について、その趣旨がより明確に示されました(1年以下の拘禁刑 または 100万円以下の罰金。両罰規定により個人だけでなく法人・団体も処罰の対象。)。
これは新しいルールを突然作ったというよりも、これまで制度が前提としてきた考え方を、実務の現状に合わせて整理し直したものといえます。

■「名目」ではなく「実態」で判断される具体例
では、この整理が実務でどのような意味を持つのか、いくつか想定されるケースで考えてみましょう。
例① 業界団体が会費に含めて書類作成支援を行っている場合
例えば、業界団体が会員向けサービスとして許認可申請書類の作成を行い、その対価を「会費の一部」として受け取っているケースです。名目は会費であっても、実質的に書類作成という業務に対する対価であれば、「報酬を得て業務を行っている」と評価される可能性があります。
例② セミナーの参加費に個別支援が含まれている場合
起業支援や制度説明のセミナー自体は問題ありませんが、その場で個別具体的に申請書類の作成を手伝い、参加費を受け取っている場合、単なる講義を超えた実務支援とみなされることがあります。参加費という名称であっても、内容次第では報酬性が問題となります。
例③ 経営コンサルティング契約の中で行政手続支援を行う場合
経営コンサルティングの一環として、許認可申請書類の作成まで請け負っている場合も注意が必要です。コンサル料という名目であっても、実態として書類作成業務の対価を含んでいれば、「報酬を得て業務を行っている」と判断されることになります。
■ なぜこの整理が重要なのか
この法改正の背景には、資格を持たない者が実質的に行政手続の書類作成を行い、その結果、責任の所在が曖昧になるケースを防ぎたいという考えがあります。
許認可や補助金の手続は、事業の継続や発展に大きく影響します。書類の不備や判断ミスが、思わぬ経営リスクにつながることも少なくありません。
行政書士は、専門知識に加え、守秘義務や懲戒制度、損害賠償責任といった責任の枠組みの中で業務を行っています。だからこそ、誰が責任を持って関与しているのかが重要になるのです。
経営者の皆さまにとっては、費用の名目や金額だけで判断するのではなく、「誰が、どの立場で、どこまで責任を負っているのか」という視点を持つことが、結果としてリスク管理につながります。
もし今、「これって行政書士じゃなくても大丈夫なのかな?」と少しでも感じる場面があれば、ぜひ一度、専門家にご相談ください。