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2026.02.26

広島中・西・北支部合同新春講演会「世界激変の波を乗り越える!広島の中小企業が今、備えるべき『生存戦略』」

開催日時:
2026/01/16(金)
会場:
ホテルグランヴィア広島
人数:
166名
報告者:
講師:(有)第一コンサルティング・オブ・ビジネス 代表取締役 丸山 博 氏(東京同友会)
文責者:
事務局 児玉

広島市内で開催された中・西・北支部合同新年互礼会。「これだけは絶対に押さえてほしい2026年の本質」として語られた講演内容の概略を掲載します。

まず、私たちのビジネス環境を根本から揺るがす米国と中国の動きを直視してください。

■米国:トランプによる「破壊」

トランプ大統領が今、断行しているのは「戦後80年間、米国が築いてきた世界の枠組み(国連・WTO・WHO・環境協定)の破壊」です。かつての「正義」は消え、あるのは「MAGA(Make America Great Again)」のみ。
 「自国さえ良ければいい」というスタンスは、ベネズエラへの武力攻撃という形で具現化しました。「武力による現状変更」を米国自身が行った今、世界のルールは消滅したと考えてください。
 

■中国:3つの覇権戦略

対する中国は、着々と3つの武器で世界を浸食しています。
1.一帯一路:途上国にインフラと資金を貸し付け、実質的に支配する。
2.科学技術:あえて「人間そっくりのロボット」を見せつけ、技術力を誇示する。
3.レアアース:世界のサプライチェーンの首根っこを押さえる.

■「呼び名」に見る日本の危機感のなさ

日本の認識の甘さは、トップの呼び名に象徴されています。世界標準は「シー・ジンピン(Xi Jinping)」ですが、日本だけが「シュウ・キンペイ」と呼んでいます。世界が「覇権国のリーダー」として警戒する中、日本だけが「漢字を使う隣人」感覚で止まっている。
この呼び名のズレこそが、世界情勢に対する日本のガラパゴス化(危機感の欠如)そのものです。

足元の日本はどうでしょうか。政治は「立憲・公明連立」というかつてない枠組み(中道改革連合)が生まれ、混迷を極めています。その影響は経済に直撃しています。

■2026~2027年は「耐える2年」

現在、日本経済は「スタグフレーション(不景気の中の物価高)」という、最も治療が難しい病にかかっています。通常なら「好景気=物価高」ですが、今は「不景気=物価高」。政府の成長戦略が効果を発揮するまでの向こう2年間は、この苦境が続くと覚悟が必要です。

■「金利ある世界」での資金調達

日銀は0.25%アップの0.75%の誘導金利へ舵を切りました。「ゼロ金利」は終わったのです。根拠のある経営計画書がない。緻密な資金繰り表がない。これらが提示できない企業に、銀行はもうお金を貸しません。「金利負担増」と「貸し渋り」のダブルパンチへの備えはできていますか。

資金繰りの話だけではありません。今こそ、我々の原点である「21世紀型中小企業づくり」に立ち返る時です。この言葉、難しく聞こえるかもしれませんが、意味はシンプルです。「『言われたことだけやる会社』を卒業せよ」ということです。
 これまでの昭和型(20世紀型)は、「親会社から仕事が降ってくるのを待つ」「社長が命令し、社員は手足として動く」スタイルでした。しかし2026年の今、待っていても仕事は来ませんし、手足だけの仕事はAIとロボットに奪われます。

今、目指すべき「21世紀型」とは、以下の2つができる会社です。
1.【外に対して】「御用聞き」ではなく「提案者」になる 「安くやります」ではなく、「こうすれば御社の利益になります」と提案し、自ら市場を創り出す。
2.【内に対して】「作業員」ではなく「パートナー」を育てる 「どうすればお客様が喜ぶか」を自ら考え、判断できる「自立した社員」で組織を作ること。
過去に作った指針書を棚の奥に眠らせていませんか。環境が激変した今、過去の遺物は役に立ちません。
経営指針塾に入り直してでも、ゼロから自社のあり方を定義し「提案型・自立型」へと変化させるつもりで、指針書を作り直す必要があります。

しかし、悲観するだけでは生き残れません。消費のルールが変わったことに気づいてください。
「選ばれる」か「安売り」か、市場は完全に二極化しました。「徹底的に安いもの」か、「高くても価値を感じるもの(プレミアム)」か。ここで重要なのが「推し活」の視点です。若者は「好きな対象」を応援(推す)することに消費の喜びを感じます。
経営者の皆さん、「あなたの会社は、お客様から『推される』存在ですか?」。BtoBであっても同じです。「あの会社を応援したい」「あの会社じゃないとダメだ」。そう思わせるファン作りができていない会社は、価格競争の波に飲まれて消えていきます。

「人が採れない」「若手が育たない」。この悩みに対する答えは以下に明確です。

■若者は「おじさんの説教」を聞かない

今の若手は、合理的でない「見て盗め」や「ベテランの経験則」を嫌います。属人化した技術を教える時代は終わりました。まずは業務を標準化し、マニュアル化すること。これが大前提です。

■「生成AI」を使えない会社に明日はない

「マニュアルを作る時間がない」。そこで使うのが生成AI(ChatGPTなど)です。これからの経営は、「全社で生成AIを使い倒せるか」にかかっています。作業手順書の作成、HPの更新、これらはAIがやります。「人手不足」と言いますが、正確には「AIと機械を使いこなして生産性を上げる人材」が不足しているのです。単なる作業員(猫の手)はもういりません。
年間休日120日は採用のスタートラインです。職人仕事を分解・標準化すれば、「タイミー(隙間バイト)」等の活用も可能になります。そこまで徹底して自社を変える覚悟が問われています。

最後に、この厳しい時代でも広島・全国で伸びている同友会の仲間の企業の共通点をお伝えします。キーワードは「極める」です。
1.【兵庫・霊柩運送事業 阪神特殊自動車㈱】 葬儀社が嫌がる「夜間の遺体搬送受付」を、下請けである自社が全て引き受ける。ニッチな「困りごと」を極めて不可欠な存在に。

2.【兵庫・厨房機器買取販売 ㈱ライズアップ】 全国16社の同業者と在庫データを共有。「自社に在庫がなくても、仲間の在庫を自社商品として即納できる仕組み」を極める。
3.【千葉・鋼材卸 野水鋼業㈱】 単に届けるのではない。「現場が使う順番通り」に積み届ける。現場の手間をゼロにする「配送」を極める。
4.【広島・木材加工業 K社】 品質管理を極める。不良率を%(パーセント)ではなく、PPM(100万分の1)単位で管理。圧倒的な「品質」自体を商品化している地元の好事例です。

事例から学ぶべきは、「自社の強みをお客様にとっての『価値』に変換し、それを限りなく極めること」。そしてもう一つ。「極めたことを、正しく『知らせる』こと」です。良いものを作っているだけでは、今の時代、誰にも見つけてもらえません。
 極めて、知らせる。知らせて、また極める。2026年、世界がどう動こうとも、広島の地でしっかりと根を張り、このサイクルを回し続ける企業だけが生き残ります。変化を恐れず、共に進化してまいりましょう。