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2026.03.23

広島県中小企業家同友会 2025年度第2回会員企業の経営課題と政策提言についてのアンケート集計<広島エリア版>

1月の2025年度第2回会員企業の経営課題と政策提言についてのアンケートへのご協力、ありがとうございました。広島エリアでの回答数は1082件、回答率は74.1%でした。データをまとめましたので、かいつまんでご報告いたします。
総論でいえば、業況・収支などは改善しているものの、原材料費や人件費の上昇分の大半を価格転嫁できておらず、厳しい状況になっているようです。また人件費は上昇しているものの、社会保険料などの負担が増えるのも利益を圧迫しており、社員の所得増の実感がないために、消費の停滞を招いているようです。

実施時期:2026年1月13日~1月30日
集計方法:弊会グループウエアe.doyuによる
回答数:広島エリア 1082通/1461名(回答率:74.1%)
<注>各表の比率(%)の分母は各質問の回答者数

現在の経営状況

まず現在の経営状況(業況)DI(良い-悪い)です。前回4.0ポイントから3.3ポイント上昇して、7.3ポイントとなりました。業種別では製造-6.6(前回比-2.6)、建設+7.9(+5.3)、卸小売-10.5(+8.2)、サービス+13.4(+1.1)になっています。卸小売りのDIは消費の停滞を表しています。また広島の経済を引っ張る製造業のDIが下がっており心配です。

従業員規模別でみると5人以下の企業のDIが-0.2と厳しい回答になっています。「とても良い」「少し良い」の合計は従業員規模が大きいほど、多くなる傾向があります。ただし31人~50人では「少し悪い」「悪い」の合計が最も高率になっています。企業間格差が顕著になっている可能性があります。

1年後の見通し

1年後の見通しDI(良くなる-悪くなる)は前回より+5.1の+23.5ポイントとなりました。業種別にみると製造+13.2(+10.0)、建設+16.6(+5.4)、卸小売+9.3(+7.6)、サービス+31.4(-2.7)と、サービス業以外は上昇しています。取り組みによる業績向上の期待や、景況の改善への期待感が見て取れます。

収支状況

収支状況DI(黒字基調-赤字基調)は、+21.3と前回から0.5ポイント改善しましたが、黒字基調・赤字基調ともほぼ水平状況です。卸小売が+8.0と他業種の中では最も厳しい状況です。従業員規模別では0~5名が最も低く、従業員数が多いほど収支は好調の傾向です。

経営上の問題点

経営上の問題点では、人件費の増大42.8ポイントと最も高く、従業員不足、仕入れ先からの値上げ要求、同業者間価格競争、税・社会保険負担増と続きます。
業種別にみると製造業で人件費増大が最も深刻です。従業員増減で最も増加率が高いこともあり、巡業員不足はやや低くなっています。士業の多いサービス以外では「民需停滞」が20%以上になり、「仕入れ先からの値上げ要求」は30%以上になっています。「従業員不足」は建設業が最も深刻です。
従業員規模別にみると、「同業者間価格競争」が最も高いのは51名以上の企業です。この層では「民需停滞」や「人件費の増大」「税社会保険の負担」も最も高くなっています。

原材料費上昇分の価格転嫁状況

仕入れ価格の上昇はどの業種でも進んでいます。問題はそれの価格転嫁状況です。「まったく転嫁できていない」「1~2割程度」の合計は約65%に達します。士業の多いサービスや、介護などを多く含む「その他」では価格が法などで決まっているために、厳しい状況です。卸小売・建設・製造ではある程度価格転嫁が行われているものの、十分とは言えない状況です。
従業員規模別でみると、規模が小さいほど価格転嫁がむつかしくなっている傾向があるようです。

賃金動向と価格転嫁

賃金については、「上げた」「これから上げる」の合計は65%以上になっています。業種別では従業員の増加が最も多かった製造業で、特に高くなっています。
上昇率は1~5%が75%で、業種間の有意な差はないようです。従業員企業規模が大きいほど、上昇率は高い傾向があります。しかしマスコミ等で喧伝される大手のような賃上げはむつかしいようです。

人件費アップ分の価格転嫁については、原材料費上昇分の価格転嫁状況と同様の傾向があるようです。
今後の賃金の引き上げについては、「余地があり引き上げる」は10%程度で、「余地をつくって引き上げる」が43%になっています。「余地はないが引き上げざるを得ない」が25%になっています。製造業と卸小売りで特に厳しい回答になっています。引き上げの余地は従業員規模が大きいほどあるという傾向があります。

価格転嫁困難部分の吸収法

価格転嫁困難部分の吸収方法は、人件費以外の販管費の削減が最も多く半数近くになっています。心配なのは「役員報酬を下げる」が3割近く、「対応できることはなく赤字を続ける」が8%あり、まさに身を切る対応になっています。

「調達コストを下げる」では、同業社間価格競争を助長することになり、景況悪化の負のスパイラルになりかねません。

今後の取り組み

人材の確保育成(55.8%)、事業規模の維持拡大(42.9%)、新規事業の展開(36.7%)と続きます。人材の確保育成は建設業で特に高くなっています。
製造業では新規事業の取り組みは高くなっており、関連して「設備投資の推進」「情報化推進」「研究開発」が高い反面、「財務体質の改善」も多くなっています。
企業規模別では大きい企業ほど「設備投資」や「情報化」が比較的高率になっています。

人材の確保状況は社会問題

人材の確保状況では、DI(不足-過剰)値はずっと40ポイント以上で推移しており、情勢にかかわらないことから、社会問題となっていることがわかります。特に建設業が深刻で、60ポイント近くになっています。逆に製造業でDI値が低くなっているのは、この間の採用強化によるものなのか、効率化によるものなのか、あるいは別な理由なのか、見極める必要がありそうです。

従業員の不足気味の理由で、「退職者が出たから」が他業種に比して多いのも、気になるところです。これは企業規模が大きいほど、強まる傾向があるようです。
従業員の不足層は「正社員」が最も高く86%。サービス業では例外的にパート・アルバイトの層が高くなっています。

最低賃金1500円をめぐって

2030年に最低賃金を1500円については、「十分に対応可能」「なんとか対応できそう」の合計は約4割にとどまり、「対応はむつかしい」「まったく対応不可能」の合計が4割を超えています。業種的には卸小売りと製造で厳しい見方が強く出ています。従業員規模別では、大きな差はないようです。

この問題に対しては「時代の趨勢」「景気回復には必要」などの見方がある一方、「価格転嫁がむつかしい中で無理な要求」「企業の実態がわかっていない」「企業の選別につながる」などの批判的な意見も多く見られます。
賃上げ優遇税制については、企業規模が大きいほど有効だとの評価が高くなっています。他方、「賃上げ分の価格転嫁ができずに利益を圧迫している現状では、意味がない」という指摘もありました。

際立つ資金繰りの厳しさ

資金繰りのDI(緩やか-厳しい)は、過去最低の1.5ポイントとなりました。過去最低だった前回からさらに1.4ポイント悪化しています。「緩やか」「やや緩やか」が減少し、「どちらとも言えない」が増加しています。

業種別では卸小売りが-9.5となって特に厳しい状況です。金利は借入額が比較的大きくなりやすい製造・建設で上昇が顕著です。
従業員規模別では、10名未満の企業がマイナスになっており、小さな企業ほど資金繰りが厳しくなっています。他方、金利の上昇は比較的規模の大きな企業で先行しているようです。

金融機関に相談したいことは顧客増とマッチング

金融機関の伴走型支援として相談したいことでは「取引先の拡大(23.7%)」「企業マッチング(21.6%)」と続きます。いずれも中小企業の営業力の補完につながる課題です。企業規模別では、大きな傾向の差はないようです。
むしろ、「必要なときに融資をしてほしい」という声が多く寄せられているのが印象的です。