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2026.03.23

2025年度役員研修大学第6講「同友会らしい役員とは?~同友会で何を学び、どう実践するのか~」

会場:
Zoom
人数:
25名
報告者:
岡山同友会代表理事 門田 悦子 氏((有)田中製作所 代表取締役)
文責者:
事務局 中野

(有)田中製作所は創業54年になるオーダーメイドの板金加工メーカーです。岡山県倉敷市にある社員数14名の会社で、手のひらサイズの小さな部品から物置サイズの制御盤を作っています。
私は短大を卒業後大学病院で8年間病棟ナースとして働いていました。結婚を機に退職をした後、田中製作所を手伝ってほしいと言われ、CAD/CAMオペレーターとしてパートで働いていました。当時創業者である父が急死し、母が会社を継いでいました。リーマンショックから会社を守りぬいたこと、地域に必要とされていることに気がついたことで、この会社を今後も継続させるため、継ぐことを決意しました。

■労使見解との出会いと経営指針書の作成

当時の我社は高齢化・人手不足・属人化など、日本が抱える中小企業の町工場問題そのものでした。私は組織で育った人間でしたが、母の経営スタイルは家業に近かったこともあり、揉めることも多々ありました。家業から企業へ変化したいと思っていた矢先、理念と経営計画書を作る会があると知り、藁にもすがる思いで同友会へ入会しました。入会後、経営指針成文化研修で『労使見解』と出会いました。私は衝撃を受け、夢中になって読みました。私にはナイチンゲール精神が宿っていたので、『労使見解』に書かれていることの本質である人間尊重の経営に重なる部分を感じ、自分の中でとても腑に落ちました。

経営理念を作成後、会社の課題を経営指針書へ取り込みました。「経営指針書は作成して終わりではなく、絶対に発表してね」と先輩会員に教わったので早速経営指針発表会を行いました。ですが社員はポカンとしており、母やベテラン社員からは反発がありました。それでも私は諦めずに問題箇所の可視化、数値の分析を行い、毎年指針書を更新しました。そして単年度は、計画・目標・担当者を決め、月次で振り返りを行う癖をつけました。会議のない会社でしたが、毎月会議を行うようにしました。そうすると社員はPDCAのサイクルに気付き始め、自分たちで計画の中に課題を入れていくようになりました。

■人を生かす経営の実践

経営指針の更新を毎年していると、今度は「発表して終わりではなく社員さんと社員教育大学へ行って、新卒採用の共同求人にも参加してみたら?」と言われました。社員と社員教育大学に参加し、毎年一緒に学び夢を語り合うことで理念が育まれ浸透していきました。共同求人にも挑戦し、求人募集しても人が来ないと嘆くのではなく、自社が変わらなければ採用できないと学びました。自分たちが変わろうと社内の雰囲気が一気に変わったことを覚えています。その頃になると、経営指針書に反発していた母もベテラン社員も外部に指針書のことを発信するようになっていました。

■ビジョンの見える化

2019年には10年後自分たちがどうありたいかを意見を出し合い、ビジョンを作成しました。この頃から勉強会チームが発足し、座学や実技など技術を伝える・学び合うようになりました。またイクボスも誕生し、働きやすい職場を作れるようになりました。組織の基礎ができ、成果を見出せることができるようになったため、将来への投資として、新工場・事務所増設、大型設備の導入をしました。
そんな矢先のコロナ禍では10年ビジョンを見直し、SWOT分析で我社の強みを再確認しました。折り返しである2025年に振り返った時には、当時立てた目標にほとんど到達することができていました。今年は「実践から確立へ」をテーマに取り組んでいます。

■同友会らしい役員とは

役員をしていなければ『労使見解』を深く読み解くことができていなかったかもしれませんし、『労使見解』に出会わなければ今の田中製作所はありません。
私は入会をしてすぐ役員になり、学んでは実践をしてきました。「役員をするからこそ本質が学べた」。これが同友会らしい役員ではないかと思います。我社では21世紀型企業づくりにある「地域から高い水準で応えられる企業になる」ことにこだわって頑張っています。運営をする役員ではなく、同友会運動の体現者として成長し、地域を強くする。これが私たち中小企業家に課せられた使命だと思っています。

〈会社概要〉㈲田中製作所
設立:1981年 資本金:1,000万円
従業員数:14名
事業内容:各種機械部品・各種制御盤の板金加工、レーザー加工、板金プロダクト
URL:https://www.tanaka-ss-oka.co.jp/