同友ひろしまNews

更新日2016.12.27

第10分科会(見学分科会) 伝統×革新で新しい価値を創造 ~挑戦の連続が新市場を創造~

2016-12 (35)2016-12 (41)

報告者 ㈱晃祐堂 取締役社長  土屋 武美 氏(広島東支部)

晃祐堂理念
・技術、品質、コストを究める
・国際的視野で未来を見つめる
・人材を鍛え育てる
・お客様の喜びを目指し、感謝の心で行動する

SOMELL GARDEN

●会社紹介

 晃祐堂は一九七八年創業、熊野町に本社・工場・熊野筆工房をおき書筆・化粧筆の生産販売している社員数七二名の会社です。また。東京支店、中国四川省、江蘇省、ベトナムにも生産拠点を置いています。

●伝統工芸品「熊野筆」の歴史的背景

 熊野筆は一九七五年に通産省より伝統工芸品としての指定を受けます。伝統的工芸品とは、伝統製法で伝統的な昔ながらの材料を使用して作られる「書筆」にのみ使用されるものでした。
 その後、二〇〇四年に団体商標としての「熊野筆」を取得し、熊野町内で生産される書筆、画筆、化粧筆すべてに「熊野筆」をうたえるようになりました。
 歴史的には、江戸時代後期に農閑期に出稼ぎにでていた方々が奈良などで筆を購入し行商しながら帰ってきたことがきっかけです。産業がなかった熊野町で筆づくりが広められ、現在では日本一の生産量を誇っています。熊野町は人口二万四千人、商工会には七百社加盟、熊野筆事業協同組合には九十九社が加盟しています。熊野筆全体の売り上げは百五十億円です。
 書筆の製造工程は約七〇の工程があり、伝統製法を活かしつつ、各社でノウハウがあります。弊社には伝統工芸士三名在籍、OEM対応、「天平筆」など高い技術を要する筆の製造が可能です。
 一方で化粧筆は約三〇の製造工程です。芸術性を追求し、現在は海外にも生産拠点をおき工業性も必要になっています。
 熊野筆としては、新たな分野・市場開拓が求められているのが現状です。

●市場開拓のための武器を開拓する必要がある=「いいモノ」+「何か」

 弊社では二〇〇四年より化粧筆製造を始めました。書筆の製造技術を生かし、毛先が柔らかで高品質が特徴です。しかし、同業他社製品と比べて差別化が出来ていませんでした。道具としての用途以外の+αで人を惹きつける事が課題でした。
 経済産業省「カワいいモノ」研究会との取り組みは、手に取ってもらいやすい、新たな顧客の開拓、広告塔としてのブランド化という効果を生み出しています。
 果樹園から届いた果実をイメージした「カワいい」熊野筆SOMELL GARDENは、果実をイメージした穂先、天然木の基軸、熊野筆の職人が一本一本手作りするという特徴を持っています。

●日本の「いいモノ」は海外で通用するのか

香港アンテナショップ

 広島県海外ビジネス課、産振興、ジェトロ、金融機関の援助もいただき海外百貨店で市場調査を兼ねた催事を実施。海外展示会、商談会へも参加し意匠権、商標なども申請し偽物対策も実施しました。また、海外企業の紹介もありOEMも獲得しました。
 台湾では台北SOGO、新光三越、漢神百貨、統一阪急、大立などで催事展開。台湾は親日的で日本商品を好むようです。日本語が分かる人が多いので仕事がしやすいのが特徴です。
 タイではバンコクの伊勢丹、ロフトに催事出店。タイは親日的で日本への旅行者も多く、美への関心が強いのが特徴です。
 マレーシアではシンガポールの伊勢丹、イオンに催事出店。親日的ですが宗教的にハラルの問題あり、豚の毛が問題になりました。一方で、ブランド力がなくても、商品が良ければ即買いをしていただけるのが特徴です。
 香港には香港SOGOにアンテナショップを出店。1年半になり、小売業のノウハウを勉強中です。

●ブランドストーリーとワークショップ

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 香港SOGOでは筆づくりイベントを開催し、書道家が筆づくりを実演しました。筆はどういう作り方なのか、筆にはどんな思いが込められているのかを紹介しています。ブランドストーリーで書道筆が売れました。
 また一年前に完成した熊野町の化粧筆工房では見学と同時に化粧筆の手作り体験も出来ます。これまで、ワークショップを体験できる場所がありませんでした。このことが、産地としての熊野町に来ていただくPR活動の一環にもなっています。
 弊社の植松会長は中国四川省内江市の名誉市民になりました。先進的に、内江市に事業展開してきたことが認められたのだと思います。
 また、海外に工場を立てるなど地元では異端児扱いされてきましたが、今回、熊野筆事業協同組合の理事にも選んでいただきました。
 晃祐堂が歩んできた道が間違いではなかったのだと確信しています。

●異業種、連携体での開拓

 異業種との連携では、筆とビーズの連携、因州和紙、Gパンとコラボを実施しました。
 同業種では商品に広がりが出来ませんが、他商品とのコラボの相乗効果で新しいお客様へ間口が広がっています。
 伝統工芸品がギフト商品としての開拓、海外市場への展開、新商品の開発と夢が広がります。

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●これからのビジョン=変わらないために、変わり続ける=

 これからもお客様の変わらないご愛顧をいただくために、我々は常に変化し続け、新しい刺激を与えなければいけないと考えています。
 これまで、自社ブランド構築に、ザ・広島ブランドの選定、オンリーワン企業の認定、経産省「カワいいもの」研究会への参加、経産省「JAPANブランド育成事業」、第二三回中国地域ニュービジネス特別賞受賞、第一〇回ニッポン新事業創出対象アントレプレナー部門優秀賞受賞と挑戦を続けてきました。
 この挑戦が、新工場の化粧筆工房を起点にした観光ロード作成、化粧筆ワークショップの充実、インバウンド需要の獲得、伝統工芸の継承と熊野町地域の活性化に貢献できています。
 今年、広島市で開催された外相会合で各国からの政府代表団に贈る記念品としてペン(セーラー万年筆)、サッカーボール(モルテン)、熊野筆の化粧筆(晃祐堂)が選ばれました。広島の優れた技術と平和への願いをアピールしたいという趣旨でした。
 大変光栄に思っています。これからも更に挑戦を続け、情報発信を続けていきます。

※第一〇分科会は、バス移動で報告、その後、化粧筆工房の見学、グループ討論でテーマを深めました。

広島県中小企業家同友会

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