同友ひろしま/2020年/12月/News

経営フォーラム2020 第4分科会「 自分の人生! 何の為に誰の為に何をすべきか! ~社員を幸せにする責任がある事を念頭に~」

報告者 ㈲保崎組 代表取締役  保崎 伸一 氏(広島東支部)

 私は生まれも育ちも山口県で、小中とずっと柔道をやっていました。高校に入ってからはレスリングを始め、日本3位になったこともありました。
 レスリングで大学へ推薦入学する道も選べましたが、早く働きたかった私は、広島にある運送会社へ就職しました。
 しかし、些細なことから社長と口論になり退職します。以降、お弁当屋、建設業と会社を転々としました。そして、1993三年に鳶・土木、足場を組む仕事をメインとして保崎組を創業しました。現在の柱の1つは法面工事で、山の中に足場を組んで、山に薬剤を注入して固める仕事で、土砂災害防止、法面保護の一役を担っています。かなり危険を伴う職場と言えるでしょう。

■入会のきっかけ

 飲んで夜の街を歩いていると、偶然に初めて就職した運送会社の社長の息子さんとばったり再会しました。その方が同友会会員で、「おまえはよう頑張っとる。じゃけぇ、黙ってこの書類に名前を書いて判子を押せ」と言われて入会しました(笑)。早いもので会暦も15年、いろんな活動に参加し、縁や出会いもたくさん頂きました。
 自分自身で一番成長できたと感じているのは、「人のために頭を下げられる自分になれた」ことです。いろんな気づきもありました。一番大きかったのは「経営者は経営を維持・発展させる責任がある。社員を守る責任がある」ということでした。また、年齢や会社規模に関わらず、お互いが対等の立場で勉強できることもこの会の魅力の一つです。
 いろんな経営者に出会いました。いい人・悪い人・素晴らしい人・そうでない人。合わない苦手な人もいます。普通はそういう人とは関わらないようにしますが、同友会ではこういう人と一緒に討論したり、飲んだりします。これがまた新鮮で、いろんな気づきを頂きました。  

■経営者の器とは

 我が社には創業以来、ずっと働いてくれている古参社員がいます。彼らが十数年うちで働き続けてくれれば、初の定年退職予定の社員です。うちの会社にその人生を捧げてくれた。その責任の重みを感じる一方、「保崎組で働けて良かった」と社員に言われるような経営をしていきたいと考えています。
 そのためには何が必要か。会社を安定させ、業績を伸ばし、利益をだすこと。利益を出せないと対価である給料が払ってやれないし、守ってやることもできません。会の先輩に言われた言葉です。「会社の売上は社長の器以上に大きくなることはない」。当時の売上は7千万円だったと思います。これがその時の器であり、売上を大きくするためなら器を大きくしようと決意したのです。
 そもそも器とは何でしょうか。辞書では「人間力」「心の広さ」とあります。人間力を高めるために、同友会で学んでいるのが現在の自分かもしれません。

■魔法のように生まれる言葉

 また、別の先輩からは「悩んだら人に会え」と言われました。確かに1人で悩んでいると良い考えが浮かびません。相談したり、逆に悩みを聞いてあげる時に、何かしらのヒント・気づきが得られます。その時閃いたことを必ずメモしておきましょう。でないと必ず忘れています。その自分だけの学びの言葉を蓄積します。ある程度たまったら繋げてみてください。魔法のようにいろんな言葉が生まれてきます。

■最高の社員を育てる

 同友会のグループ討論も、会社に取り入れたものの一つです。15年前から毎月1回の社内会議で実践しています。「安全経営会議」といい、月次決算、月の反省、次月の目標、個人のテーマなどを話し合っています。
 ある先輩経営者の「オレの夢は小さくてもいい。最高の社員教育をすること」という言葉を聞いて、「あぁこれだ」と思いました。最高の社員を育てることを自社の強みにすることで、我社独自の付加価値になります。人という付加価値であり強み。これだけはどこに出しても負けないと私は思っています。最高の社員たちが、現場でより良い仕事をすることで、次の仕事の営業にも繋がっているのです。   ■やる気を持たせていますか?    現在、私はほとんど現場に出ていません。ほとんど社員に任せています。社員たちは自分たちで目標を定め、達成のためにどうするか、自分たちで考えています。例えて言えば、自動で進む車のような感じです。経営者はその進むためのエネルギー源かもしれません。  人のやる気の三大要素は、自信が持てる、魅力を感じる、必要だと感じること。中でも自分たちの仕事が、社会にどれだけ役立っているか、社員さんは知っていますか?それを社員さんに伝える努力をしていますか?ここはポイントです。彼らの誇りのやる気の最大の源泉だからなのです。

■自分が人生の主人公

 社員の気持ちのフォローも大事です。出社してきた社員の顔色や目の状態から、今どんな気持ちがつかんでいますか?
 毎月1回、社員と交換日記をしています。その日記には、嬉しかったことや悲しかったことや今の気持ちなど、何でも書いてくれますし、悩みも書いてくることもあります。人は、自分が人生の主人公なんです。だから自分の居場所を模索しています。
 一緒に悩みを考えてあげる、そのことが社員の励みになっているようです。そこまでするのかと思う方がいるかもしれませんが、ここまでしないと社員は決して信頼してくれないのです。
 約20年前のことです。会社が本当に苦しく、給料もまともに払えない時期でした。それでも私に付いてきてくれた彼らがいたから今があると思っています。実は最近、社員たちへ恩返しのつもりで車をプレゼントしました。びっくりしてましたが(笑)。社員にきちんと思いが伝わるように向き合ってみてください。同友会は、思いの伝え方の絶好の練習場だと思います。  

■社員を守る使命

 絶対に成長して、自分を変え、社員を守っていかねばならないという使命が、経営者にはあります。これは、誰に教わるというものではなく、自分でその責任・使命を見出していかねばならないのです。皆さんも、それが何かを自分自身で見出してください。
 今回のコロナ禍で、厳しい状況の方も多いと思います。しかし、このような厳しい状況だからこそ、見えなかったものが見えたり、分からなかったものが分かったりしませんでしたか?それに気づけたことも、さらに自分自身の成長へ少しでも繋がるのではないでしょうか。
 社会はまだまだ変わっていくでしょう。この変化に私たちは対応していかねばなりません。そのために必死で勉強して対応する。それを繰り返していくうちに、気づけば一回りも二回りも成長しているのではないでしょうか。
 同友会に求めるものは、皆違います。でも、経営者として学ぶべきものは皆同じではないでしょうか。しっかりと同友会を活用し、せっかく縁あった仲間と自分の心をさらけ出して真剣に取り組む。大変な今を乗り切っていきましょう。必ず明るい未来が待っています。

■自分にしかできない使命

 4年前に亡くなられた、私のことを見守ってくれた師匠ともいえる先輩会員がいました。いろんなことを教えてくれました。時には叱られたり、褒められたり。病気になられながらも、最期まで人の心配をする方でした。葬儀もたくさんの人であふれかえっていました。その方から本当にいろんなものを頂きました。私は、その恩を次世代に返していこうと思っています。
 人はいつか必ず死にます。ならばいかに死ぬかを考えないといけません。自分にしかできない「使命」を今しかできないことを全うしていきたいと思っています。

【保崎組 社訓】
一 挨拶で始まり挨拶で終える事
一 何事にも誠心誠意を持って接する事
一 常に先を読み、予測する事
一 他人に対して思いやりを持ち、他人の痛みを知る人となる事
一 安全作業を心がけ、無事故で1日1日を終える事

広島県中小企業家同友会

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