同友ひろしま/2020年/12月/News

経営フォーラム2020 第3分科会  「新たな創造への挑戦 ~全世代型地域健康拠点~」

講師 マイライフ㈱ 代表取締役  糸賀 誠 氏

■はじめに 挫折からの企業理念

 私は昭和37年生まれ、島根県出雲市の出身です。大学を卒業して松江本社の王水堂薬品㈱(現㈱エバルス)に就職、マーケティングスペシャリストとして11年経験しました。平成9年33歳のときに、会社を設立しました。マイライフ㈱はオール薬局を運営し、調剤薬局、医業経営コンサルティングの会社で、中国地方特に広島県、岡山県に40店舗ございます。
 企業理念を創り直したとき、キャッチフレーズは変えていませんが、その下の「働く仲間」というキーワードは、新たに付け加えています。当時、私は医業経営コンサルティングをしていて、従業員もそこそこ増えていました。私は人事も、経理も、何でもできると思っていました。そうこうしているうちに会社がバラバラになり、ずっと一緒にやってきた仲間が辞めていきました。その経験から、1人で会社なんてできるわけがないと、気付かされます。
 本来でしたら、患者さま、地域社会が先に来るのが本当だと思いますが、働く仲間全員で、今の会社を運営しているという気持ちを企業理念に表現しています。

■開業時の思い  地域医療の向上

 元々、医業分業というのは四十数年の歴史です。院内処方から院外処方への変換が厚生労働省によって実施されました。
 弊社が創業したのは少し遅れた時期でした。当時は処方箋通りに薬を出して、余計なことは何もするなという業界でした。開業当初に考えていた「医者と薬剤師の2重チェックで2倍の安心」「薬局で丁寧な説明、相談」「かかりつけ薬局でお薬の重複を防ぐ」という3つの安心は出来ませんでした。
 そこで、いい薬局をつくる為に、いいクリニックと病院を作るという考えで、医業経営コンサルタントとして、病院の開業支援を始めます。現在150件を超える件数を手がけました。

■事業の転換期 受身からの脱却

 基本的に、いま我々がやっているのは医療モールの開発です。その地域に必要とされる診療科のみを誘致します。
 そして、医師と薬剤師がしっかりと連携し、患者様にとって「かかりつけ機能の向上・地域への貢献」をするモデルを構築しています。
(開業コンサル モール開発→集客アップ→医師が集まる→薬剤師が集まる)

■地域包括ケアシステムの確立が課題

 現在の社会保障給付(年金、医療、福祉その他)は年々増加しており、2019年度は123兆円を上回る水準となっています。そのうち医療給付費は、現在の40兆円から2025年度には約50兆円を超える見込みになっています。
 ここでお話ししたいのは、医療を取り巻く環境は、2025年に地域包括ケアシステムを確立し完結されます。これに向けて、今、弊社ではいろんな動きをしています。例えば、生活習慣病に対する取り組みです。
 基本的には、生活習慣病とは、偏った食生活や睡眠不足・運動不足・喫煙・ストレスなどの積み重ねが原因となって発症する、様々な病気の事(がん、心疾患、脳血管疾患、等)を言います。
 生活習慣病は、日本人の死因の半数以上を占めています。この予防と早期発見のために、がん検診&特定検診・特定保健指導の受診を厚生労働省が大きくPRしています。しかし、特定健康診査の未受診者が約2790万人もいるのが現状です。
 また日本は、平均寿命は世界一ですが、平均寿命と健康寿命の差が約10年あります。健康寿命を延伸させ、平均寿命との差を如何に小さくするかが重要です。(地域、病院、薬局、介護施設にとって一番の命題になっています。)
 地域包括ケアシステムを確立し、その住み慣れた地域でずっと住めるようにしましょうと取り組んでいます。

■広島県は健康寿命最下位

 実は、広島県は全国的に健康寿命が最下位の方で、「健康ひろしま21」を策定し取り組んでいます。「喫煙率」「塩分摂取量」「運動習慣」「社会的つながり」の四つの健康指標が、健康寿命の延伸に影響が強い要因であるという分析をしています。
 これらの問題解決が薬局でできないか?  国が推進する健康サポート薬局の活動を実施すればよいか? ということで、11年くらい前から、年間に百カ所くらいで健康サポート活動を実施しました。  

■新業態の創造 全世代型地域健康拠点の設置

 しかし、処方箋を持った人しか来ない、これは我々保険調剤薬局の限界でした。
 病院に患者さんが診察を受けておられる間は、処方箋を持って薬局に来られます。回復されて、病院に来られなくなったら終わっていました。
 これを何とかできないか?
 新業態で関りを創っていきたいと始めたのが、全世代型地域健康拠点です。
 処方箋がなくても、健康志向の高い人でなくても、気軽に、身近に利用できる。そして、医療の敷居を低くし、薬・食事・運動を通じて健康の場を創造したい、という思いです。
 2019年4月に呉市の本社隣に「オールファーマシータウン」をオープンしました。何か大げさな名前を付けましたが、今回は、いろいろなお医者さんから「良くやった」と褒められました。今までいつも、新しい事をやっては、お医者さんからは怒られてばかりでしたので非常に感激しました。
 1階がローソンのヘルスケア新業態(マチの健康ステーション)、介護事業相談所、2階にはオールカフェ×タニタカフェ(健康食堂)、運動スタジオ、オールラボ(測定ルーム・栄養指導)、3階が医療モール(小児科、産科・婦人科)になっています。
 現在、有料会員組織「健康くらぶ」を作り、会員募集中です。今後、呉市、大学、医療機関、オール薬局、オール健康くらぶ、が協力して健康寿命延伸を目指します。  

■中小企業が新しい価値を創造する

 最後に、イノベーションというと、製造とか技術系の会社の事だと思っていました。しかし本来の意味は、新しい価値を創造する事です。  現状に満足しない事、現状を変えようとする事が大切です。現場が、何でそうなっているんだろう、「何故?」を繰り返し考える事が第1歩のスタートです。皆さんと我々のような地域の中小企業が頑張っていきましょう。

【会社概要】
設立:平成9年
資本金3,000万円
従業員数455名
事業内容:調剤薬局の開局・運営(オール薬局)、医業経営コンサルティング

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