同友ひろしま/2022年/12月/News

第6分科会「 中小企業が実践する日本一の環境経営 ~同友会理念に沿って進めた高付加価値企業づくり~」

報告者:西岡化建(株) 専務取締役 西岡 洋子 氏(大阪同友会)

■会社らしい会社にしたくて

 わが社は、1975年に創業しました。屋上などの防水工事、床などの塗布・仕上工事、タンクなどの防蝕工事を行っています。
 広島とは不思議な縁を感じています。というのも、1973年に原爆ドームの崩壊防止のため、主人(現会長)がアクリル注入工事に携わったのが、この仕事を始めるきっかけだからです。
 同友会に入会してしばらくは幽霊会員でした。会に積極的に参加するようになったのは2005年です。主人が「この会社も自分一代で終わりかな」とつぶやいたのをきっかけに怒りがこみ上げ、火が付きました。
 当時、建設会社はどこも慢性的な人手不足。他方、将来の売上に不安もある。さらに、社員はみな立派な技術者なのに、建設作業員とひとくくりにされて、一段下に見られる。悔しい思いがあったのです。何とか会社らしい会社にしたい。その思いで同友会に参加して、学んだことを一つ一つ実践するようになりました。

■リーマンショックの中で

 私がエコアクション21(以後EA21と記載)に出会ったのは、リーマンショックの直後でした。当時広報委員会に所属して、環境経営委員会担当になっていた私は、大阪同友会が行っているEA21の勉強会に出会います。未曽有の不況という声も出ている中、仕事の将来への不安、そして自社の近代化の遅れに対する焦り。そうした中で、会社操業のシステムがほしい、世間にわが社の技術を知ってもらいたい、社会に役立つ仕事をしていることを社員の誇りとしてほしいと思っていました。広報部員をしていて、環境部会の取材をしたことから自社で取り組めるかもとEA21に期待を持ったのです。

■自社の事業は環境経営

 勉強する中で、自社の仕事を見直しました。業務の主軸である防水工事は大切な資産を風雨による浸蝕から守り長持ちさせる。耐酸耐熱の防食工事は工場床や貯蔵タンクの蝕みを防ぎ、薬品汚染から工場と働く人を守る。そうだ、自社の本業は地球環境に配慮したエコアクションなのだと気づき、とても嬉しく思いました。  

■なにをすればいいのか見えてきた

 2009年から環境部会の月1回の勉強会に参加しました。学んでいるうちに何に取り組めばよいのか、見えてきました。
①電気の使用量を削減…照明をLEDに。不要電灯は消す。
②エアコンの温度を調節…夏は26度、冬は20度設定で。
③産業廃棄物を削減…分別を徹底して、金属は販売し、紙はリサイクル
④捨てるより譲る…材料運搬のパレットを必要な会の仲間に譲って再利用
⑤アイドリングストップ…安全運転、事故ゼロ
⑥ゴーヤの栽培…室温キープ、収穫物は社員のおみやげ
⑦省エネ節電効果…遮熱塗装はお手の物、わが社で試して営業
⑧太陽光パネル取付…ゼロ・エネルギー社屋、売電。
⑨整理整頓は節約…まだ使える道具や機械は、整備する  
つまり、3R(リユース・リデュース・リサイクル)と5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の活動を徹底したわけです。
 1年間勉強し、1年をデータ集めに費やして、2011年に認証取得しました。

■お客様への提案も

 無理・無駄をなくす社員教育をする一方、お客様への提案や材料選び、工事手順も変えていきました。
 材料については遮熱効果や耐震性のものを選ぶこと。特に工事中に出る臭気についてはメーカーで研究された低臭性の材料を施主様に提案しましたが仕入れ価格は三倍、見積もりへのご理解をいただくことが先決でした。
 特定化学物質及び4アルキル鉛等作業主任者の技能講習を行い、資格を取得していきました。欧州から安全性を懸念されたスチレンモノマーなどの物質を含まない防水材料に特化するため、メーカーとともにノンスチレン工業会を立ち上げ活動してきました。残念なことにこのメーカーがM&Aで海外企業の小会社に。取扱量が小さいことから、生産中止になってしまいました。自社の在庫がなくなる前に、新たに取り組んでくれるメーカーが決まれば、と考えています。
 工事手順も長年の経験を活かして工夫し、独自のノウハウを蓄積しています。例えばスーパーの調理室床の塗床工事。営業終了から翌日の準備開始までに工事・仕上がりが終了できるようにしています。
 技能資格の取得を奨励し、多くの1級・2級技能者がいます。2007年からは外国人実習生を受け入れています。累計25名になりました。随時3級技能検定を受けてもらいます。彼らの真剣さは、邦人社員の意識向上と職場の活性化に大いに貢献してくれていると思います。
 このように、全体として、仕事の付加価値をどう上げていくのかに取り組んでいきました。

■若い社員の育成と活躍

 現在の環境経営の取り組みの中核を担っているのは、同友会の共同求人活動で採用した新卒社員です。彼ら・彼女らに「どうして我社を選んだのか」聞くと、環境問題に我社が熱心に取り組んでいるから、と答えが返ってきました。女性社員も先頭に立って、5Sの実践に取り組んでいます。これが社内の空気をかなり変えたと思います。
 新入社員には日刊工業新聞主催の「フレッシャーズ産業論文コンテスト」に参加してもらいました。社内で文章講座を開きました。テーマは各人が考えますが、文章は一緒に磨きをかけるようにしています。中小企業の部で、全国の二席を受賞したこともあります。こうした機会をとらえて、自分の成長を評価してもらえる場を考えています。 

■SDGs17の目標に

 自社の取組みを精査していくと、SDGsの17の目標全部に、なにかしらの関係があることがわかりました。今は、それを身近なものにするための工夫をしています。例えば手洗い場には、目標6のアイコンと一緒に「節水」を呼び掛ける、といった具合です。大事なことは、取り組みと成果を見える化することではないかと感じています。

■環境経営でメシが食えるか

 取り組みを始めた頃は、「環境経営でメシが食えるか」という声がかなりつよくありました。現在でもなくなってはいません。
 しかし、EA21に取り組んで良かったと思うことがいくつかあります。
 一つは、会社全体の環境意識が高まったこと。人として気分の良いことをしているという気持ちになれること。環境活動だけでなく、あらゆる無駄の削減が効率的な仕事や経営につながること。会社の仕組みづくりが進んだこと。環境関連の法規制などで毎年指導を受け、相談できることで前向きな気持ちで経営を考えることができること。取引先やお客様からの信頼性が向上し、会社の事を知ってもらえるきっかけになったこと、などです。
 特に、全国で受注している大きな工事は、ゼネコンさんから直接問い合わせがありました。そのきっかけは、HPをご覧になって、環境経営に高いレベルで取り組んでいることがわかったから、とのことでした。
 当社もコロナで大きな痛手を受けましたが、アフターコロナでは、環境投資は一つのキーワードになるはずです。未来に向けて、取り組みを進めていきたいと思います。  

■自社のアピールを

 学生さんに向けてもそうですが、自社の環境経営への取り組みを明確にしてアピールすることは、自社の付加価値を高め、ブランド化を進めるために不可欠な要素の一つではないでしょうか。またそれで得られる企業の社会的評価は、社員さんのモチベーションを大いに高めると思います。  我社の環境経営レポートは2020年度環境省の主催する環境コミュニケーション大賞環境大臣賞を受賞しました。次いで昨年の中同協同友エコ大賞において会長賞を受賞したことはこの上ない栄誉、仕事のブランド力をいただいたと喜んでいます。
 今、地球規模で激甚災害が発生し、それは地球温暖化の現れの一つだととらえられています。今後、経営と環境問題をどう切り結ぶかで、企業の在り方が問われるのではないかと思います。その意味で、我社を育ててくれた大阪同友会の環境経営部会に感謝しています。

【会社概要】
事業内容:一般建設業・防水工事/防食工事/塗装工事/内装仕上げ工事/建築工事
設立:1978年
資本金:2,000万円
社員数:30名
http://www.nishiokakaken.com/

(文責 事務局 橋本)

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