同友ひろしま/2024年/2月/News

役員研修大学 第6講 「よい経営環境をつくろう ~中小企業憲章・条例の運動~」

報告者:中同協 条例・憲章推進本部 顧問 杉村精工㈱ 取締役会長 杉村 征郎 氏(静岡同友会)

■中小企業憲章制定運動とは

中小企業憲章とは、日本の経済・社会・文化及び国民生活における中小企業の役割を正当に評価して、豊かな国づくりの柱に中小企業を据えることを目的としています。中小企業憲章制定運動では、憲章と条例が一体化し、産業政策の一部ではなく、国民の名を第一人称とする「理念」を明確にしました。

EU諸国では、ヨーロッパ小企業憲章が制定されており、日本でも中小企業が正当に評価される政策作りを働きかけるため、運動が推進されました。

運動の目的は3つあります。1つ目に、国民経済の豊かな発展のために、中小企業を中核的な存在に位置づけることです。2つ目に、中小企業政策を補完的な役割から脱皮、中小企業重視の政策へ転換することです。3つ目に、中小企業基本条例を未制定の自治体に広げることです。

この運動を継続的に行うために、各地同友会で、憲章運動の担当組織を置くことや、会員企業と憲章の関連性を明確にするなど、様々な取り組みが行われました。企業環境センターの方や各地同友会250名以上の語り部など多くの方が運動に関わりました。その中でも、赤石義博氏が提起した「圧倒的多数の国民の幸せ、生きる・暮らしを守る・人間らしく生きる」という言葉は、多くの方に壮大な影響を与え、憲章理解の前進となりました。

■中小企業憲章制定

2010年6月18日に「中小企業憲章」が閣議決定されました。中小企業の重要性を認めた日本で唯一の憲章になります。「中小企業は経済を牽引する力があり、社会の主役である」と明記されました。

しかし制定に伴い、多くの問題点がありました。憲章制定には、数名の官僚しか関わってもらえず、国民への周知が簡略化されたことに、虚しさを感じました。

中小企業立国はいまだ遠い道のりとなっており、「新成長戦略」や「アベノミクス」などの憲章と真逆な方向に向かっています。今後も憲章の主語を国民の総意とする国会決議を目指し運動に取り組んでいきます。

■憲章運動の成果

憲章運動の最大の成果は、「地域」を支える中小企業の重要性の不変妥当化を認めたことです。政府自治体や金融機関では、憲章を通して中小企業の地位と役割が一般的となりました。同友会として1980年代頃から中小企業の役割と立ち位置について、主張し続けていましたが、中小企業は地域のインフラであることが、国として初めて認められました。

その後、条例を制定した自治体が4割を超え、739の自治体で制定されました。しかし看過してはいけないことがあります。条例が制定され、大きな変化がなければ制定した意味がありません。そのためには、地域のインフラである中小企業と同友会が積極的に関わる事が必要です。各支部単位で政策や提言能力を高め、会員の増加と質が保障されると、日本は必ず良くなると確信します。

■まとめ

皆さんに伝えたい。大切なことが3つあります。1つ目は、当事者としての意識を持ち、自分の頭で考えることです。知らないから騙されます。何事にも洞察力を持つことが大切です。

2つ目は、常識や先入観からの脱却と勇気です。常識とは、先入観です。私たちは生活の中に張り巡らされた常識の中で、行動を縛られています。学ぶことなくして得ることは出来ません。学ぶことの本質は、真実を求めることです。

3つ目は、「思考の三原則」本質的・多面的・歴史的に見ることです。人の話を鵜呑みにしすぎていないでしょうか。現状の政治や社会について固定的に見ていないでしょうか。立場と視点を変えることで、見える世界が大きく変わります。過去を知らなくても生きていけますが、未来を創造することはできません。
当事者としての意識を持ち、学習することで運動が全国に広がり地域は良くなります。

(記:事務局 大塚)

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