ピックアップ会員「これからはマップがメディアに」
- 開催日時:
- 2025/10/21(火)
- 報告者:
- droptip(ドロップチップ)(株) 代表取締役社長 林 聡 氏
- 文責者:
- (有)松田建築設計事務所 松田 寛
droptip(ドロップチップ)(株) 代表取締役社長 林 聡 氏
droptipは、2020年コロナ禍中、開発がはじまりました。当時、林氏は個人事業主として数社の大手企業のシステムエンジニアとして活動しておられました。
コロナ禍で在宅勤務が進む中、以前から考えていたスマートフォンでリアルとバーチャルを融合させたアプリをつくりたかったという思いからアプリ事業に着手。『ドラゴンクエスト』で体験したような、特定の場所でアイテムを拾う喜びを現実の街に持ち込みたい」という発想から、droptipの開発が始まります。
翌年、株式会社OFFICE-HAYASHIとして法人化し、2023年にはアプリリリースに伴いdroptip(株)へと社名を変更されます。

■人を「動かす」地図:droptipのユニークな仕組みと防災機能
droptipが画期的なのは、単なる情報提供ではなく、人流を創出することに特化した仕組みです。
全地球測位システム(GPS)データを活用し、企業や団体が写真、動画、クーポンなどの「アイテム」を街中の特定の場所にドロップ(落とす)します。利用者は、スマートフォンの地図上に表示されたアイコンの半径100メートル以内に実際に出向かないと、そのアイテムを拾い、情報を見ることができません。
これにより、「店舗の前に当日限定クーポンを置く」「イベントのスタンプラリーを実施する」など、ターゲットを物理的に誘引することが可能になります。当初はあえて検索機能を限定することで、偶発的な発見と「その場に行く」行動を促しています。大手企業などが独占できないニッチな地域情報を拾い集める楽しさも提供しています。その機能が評価され、2024年にはHiBiSインターネットビジネスフォーラム2024でビジネス賞と会長賞をW受賞しています。


また、droptipの持つ「位置情報」と「即時性」は防災分野で評価されており、ドローン技術の第一人者である野波教授(Autonomy創業者)との協働や、広島大学力石研究室との産学共同研究開発契約により、災害時には、警戒アラートと同時にプラットフォームが災害情報共有モードに切り替わり、安全な避難経路の提供や現在地の災害リスクをリアルタイムで通知する機能を開発しています。
この社会的価値に賛同し、ジャパン・レジリエンス・アワード2025 優秀賞を受賞。さらに、一般財団法人国連支援財団や、インバウンド観光・オーバーツーリズム対策として広島国際空港、広島ホームテレビと観光DX、防災DXの分野でパートナーシップ契約を締結。来年の免税法改正に伴い日本免税とも業務提携を結ぶなど、国内外で活用が広がっています。
■夢は株式上場、まずは身近な地域から
droptipは、2022年からの実証試験を経て、今年1月から大幅な改修を行いリリースされました。法人利用を主な収益源とし、2028年5月期に売上高22億円、2029年の株式上場をめざすという、高い目標を掲げています。国・県・市、大手企業からの導入要望も殺到するなど、その勢いは加速する一方です。
そして、そのdroptipの機能が、同友会東広島版として10月中に運用開始されるとのこと。実際にその「ワクワクする世界」を体験できるのが、今からとても楽しみです!スマートフォンを片手に街を歩き、新しい発見やお得なクーポン、そして地域の情報という「宝物」を拾う。droptipは、私たちの日常に「冒険」という名のスパイスを加え、地域と人とのつながりを再構築する、まさに未来の地図となりそうです。
