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2026.01.06

経営フォーラム2025 第2分科会 「承継から変革へ。地域と未来を創る熱男の挑戦!~継いで、悩んで、動いた先に見えたもの~」

開催日時:
2025/10/07(火)
会場:
リーガロイヤルホテル広島
人数:
50名
報告者:
(株)ニホンケミカル 代表取締役専務 原田 敦夫 氏(三原支部 副支部長)
文責者:
事務局 中野

我社は、三原市を本社に置く、ものづくりの会社です。1967年に尾道で創業し、現在、子会社・関連会社6社、社員数133名、売上高23億円の会社です。事業内容としては、ショットブラスト&プライマー加工、形鋼切断、曲げ加工等を行っています。我社で作ったものは、造船・橋・空港の滑走路の鋼材にも活用されています。
ニホンケミカルは、妻の実家で行っていた事業です。入社前、私は実家のある山口県で全く今の仕事と関係ない会社で働いていました。何をしている会社か知らないが、なんとかなるだろう。という安易な考えで、結婚を機に何の思いもなく入社しました。
私が次女と結婚したため専務。長女と結婚をした人が社長として、現在一緒に経営をしています。社長が営業・外部との折衝、私が工場と財務という内部を担当して、役割分担しています。

■入社当時の会社の状況

創業家である、創業者、2代目、3代目(現会長)が会社の創業期・成長期・安定期をそれぞれ支えてくれました。なかでも事業承継をしてくれた会長が当社を成長させた立役者であり、強力なリーダーシップで引っ張るスーパーマンでした。
2008年の入社当時、会社は順調に伸びていましたが、裏腹に、社内はとてもギスギスしていました。教育制度はほぼ存在せず、安全管理にも課題がありました。精神的につらくなった社員を恫喝して辞めさせる光景も目撃しました。また、毎月会議を行っていましたが、会議とは名ばかりの社長への報告会でした。これでは管理者も育たないと感じていました。
様々な問題を抱えながら、2016年に代表を引き継ぐことになりました。先代の時の組織風土を見ていたため、社員が自分で考えて、動けるような組織に変えていきたい。同時に、社員を本当に大事にするような会社にしたいと考えていました。

■「NC強靭化計画」

まず初めに取り組んだことは教育体制・人事制度の改革でした。「NC(ニホンケミカル)強靭化計画」を掲げ、作業を細分化し、経営理念に基づく行動をとってもらえるよう、役割を明確にし、成長を支援していこうと考えていました。しかし、制度の浸透不足・新しい試みに対する不信感が重なり退職者が多く出ました。社員から会長の耳に状況が伝わったことで、大激怒されました。私が先代に対する尊敬・感謝の念が足りてないことから情報共有を怠り、やりたいことを社長と2人で決め、事後報告しかしていなかったことが要因としてありました。
そんな時、(株)クニヨシの早間さんに誘われ、2017年に同友会へ入会しました。
 

■経営者としての覚悟

入会後、早間さんが工場見学に来てくれました。その際、会長に激怒された話や、他人承継で気を遣い、なかなかやりたいことができない、そんな話を早間さんにしました。すると早間さんからは「先代を納得させるだけの知識も熱意もお前らにはないから何もできんのよ。いつまで気を使ってやるつもりなんや。覚悟決めや。リーダー以上に会社は成長せんのや」と言われました。そこで初めて、できない理由を周囲の環境のせいにしていたことに気づきました。
また、同友会で青年部の役をいただいたことをきっかけに、県内・県外の経営者と関わることが増えました。学びの機会が増えたことで、経営に対する手法はもちろん、自身の置かれている立場に対するありがたさ、事業や社員との向き合い方が圧倒的に足りていないことに気づきました。自身を変えるため、同友会に出続けました。
 

■真の財務分析とは

 社長は前職、造船所で勤務していたので、船に対する造詣が深かったです。ですが、私は前職の経験が活きにくかったため、自分自身が何を強みとして、この会社に貢献すべきなのかわかりませんでした。
そんなある日、中小企業大学校で開催される財務講習を見つけました。数字をもとに、いかに論理的に考えるか。これが会社に貢献できるポイントだと感じました。そこで5年分のBSとPLを並べた比較貸借対照表を作成し、正しく利益を残して、利益の出る売上を作り、無駄を省くことを徹底しました。この当たり前の積み重ねが、お金が増えて貯まる経営につながり、会社のため、社員のため、お客様のため、地域のためにつながっています。
単年度の決算書を眺めても数字が読めるようにはなりません。過去を分析して、現在を把握して、自社の未来を作っていく。これが真の財務分析だと思います。

■組織風土の変化

財務分析の他に、社内の雰囲気を変えるため、コミュニケーションの改善にも取り組みました。2020年の6月からは、会長・社長と3人で毎朝30分程ミーティングをすることにしました。他愛もない話から社員の様子など、基本毎日行い、5年以上続けています。また、社員全員と面談も行うようにしました。社員の幸せを実現するため、何に興味を持ち我社で働いてくれているのかなど、全国の工場を周り、話を聞く時間をつくっています。

そして同友会で経営指針書を作り、社員と共有しています。私は経営指針書も社員とのコミュニケーションの一部だと思っています。経営指針発表会では、社員と方針や各工場の目標を共有し、今後どうしていくか討論を行っています。
ブランディングのために社内アンケートを取った際、ニホンケミカルの強み・特徴を聞くと「お客様だけでなく、社員を大切にする」と書かれていました。私が入社した頃に、精神的に辛くなった社員を恫喝して辞めさせていた会社が、こんな意見が出る会社に少し変わったのかと実感しました。

■地域のためにできること

同友会で県外に出た際、他県の会員経営者の方から「お前の会社は地域貢献何もしてないな」と言われました。我社で一体なにができるのか考えていた時、地元の農家さんと出会い、三原市大和町にフルーツを栽培している観光農園があることを知りました。オーナーが高齢化し、事業に対する意欲もなくなっており、この状況を何とかしたい。という話を聞きました。
地元の資産をこのままにしておいてはもったいないと思い、この農園をもう一度人が集まるような場所にするためM&Aを決め、「スマイル・ラボ 広島」という観光農園として現在運営しています。昨年には県で表彰されたり、地元私立の学校と事業連携したりと、取り組みを進めています。またイベントの際は、ニホンケミカルの社員の方が手伝いに来てくれています。ただ、農園だけだと債務超過の状態です。果樹は植えて実になるまでに3~5年かかります。引き継いでから植えた苗がこれからどんどん実になり、プラスに転換していく予定です。また引き継いだ際に、元々働かれていた方は退職されたため、人材育成もこれからの課題になっています。

■まとめ

私はニホンケミカルという会社が何をしている会社か知らず、何の思いももたず入社しました。当然、先代・社員へ感謝の思いもなく人のせいにしていました。そのような状態で新しいことに挑戦してもうまくいくはずがありません。同友会で色々な人と関わりながら学んでいなければ、良い会社を引き継がせてもらったアホなお婿さんとして、居心地のよい場所にとどまっていたのではないかと思います。それは、行動していない・成長していないということではないでしょうか。

皆さんは同友会で学んだことを、いつ挑戦しますか?全て成功するわけではありませんし、挑戦した分だけ必ず失敗もあります。ですが、誰かにやらされているのではなく、自分で決めたことだと思います。挑戦して今よりもよい会社を作り、社員さんにとっても人生をかけるにふさわしい会社になりましょう。
経営者が変われば会社が変わる。会社が変われば、地域が変わる。そして地域が変われば、そこで暮らす人たちの未来も変わる。あなたはどんな理念を持ち、どんな人たちと、どんな未来を作りますか?

【会社概要】(株)ニホンケミカル

設 立:1967年  資本金:1,000万円
従業員数:133名
事業内容:ショットブラスト&プライマー加工・形鋼切断、曲げ加工
URL:https://www.nihonchemical.co.jp/